今回は、リクルートエグゼクティブエージェント社の社長・松園健様、マネージングディレクター・井上和幸様にお話をお伺いすることができました。人材紹介業界のトップ企業・リクルートエージェント社から2001年に分社。エグゼクティブ層(社長・取締役、CEO・COO・CFO等の経営執行責任者、事業部門責任者)に特化した人材紹介サービスを展開されており、最近は新しい試みにも取り組んでらっしゃいます。
是非ご一読ください。
インタビュー
代表取締役社長
松園 健 様 (写真右)
マネージングディレクター
井上 和幸 様 (写真左)
日本におけるエグゼクティブサーチ市場の現在の規模、及び今後の市場予測はどのようになっていますか?
推定ですが、年間で1万人強のエグゼクティブの方々が実際に転職をされ、その中でも半数の約5000人強の方々が何らかの人材サービスを利用して転職されています。メインのエグゼクティブサーチファームのプレーヤーの売上規模から推定しても、250〜350億円規模にはなっているでしょう。
一方、企業を取り巻く環境面から見ても、アーリーステージから成長ステージへのギアチェンジ・IPO、内部統制強化、グローバル展開、M&Aや事業継承、ファンドの投資、地場企業の再生など、様々なテーマでエグゼクティブ層の流動化が進み、採用ニーズが高まっています。この市場は今後まだまだ伸びていくと予測しております。
その中で、現在の市場における御社の位置は? また、競合として意識されている会社はありますか?
外資系から国内まで様々なエグゼクティブサーチファームがありますが、年度当りの実績規模においては、既に決定人数、金額ともに業界トップクラスだと自負しております。
「競合として意識されている会社」とのことですが、それ以前に、まずこの業界、サービスそのものの認知を上げることが先決であると思っています。
我々としてはキャンディデートサイドを軸にサービスのクオリティを上げていくことが重要だと考えており、これが競合と比較しての当社の特徴でもあると思います。そのサービスクオリティをあげることが業界の認知をあげることにも繋がるのです。当社のやり方は、クローズドなイメージで何か胡散臭さ感じさせてしまう様な業界イメージを払拭していくことにもなると思いますよ。
現状と今後2〜3年、又は将来的にどの様にお考えですか。規模など将来目指す姿も含めて、差し支えない範囲で、事業計画(売上金額、決定人数、従業員数等)をおしえてください。
現在、従業員数は43名ですが、そのうちコンサルタントは約3分の2を占めています。
創業以来、積極的にコンサルタントの採用を続けており、今後も優秀なコンサルタントの採用を実施したいと考えています。
売上金額や決定人数は非公開ですが、創業以来高い成長率を実現・継続しており、今後の中期経営計画(3年単位)においても更なる成長戦略を掲げております。この先2〜3年には年間500名の経営トップ・エグゼクティブクラスの紹介成立を実現したいと思っています。これは前述の業界認知を広めることにもつながりますし、弊社のブランド構築の意味合いからも重要な数字だと考えています。
御社として果たしたい役割、また、他の競合他社との仕事の仕方の違い、社風の違いなどについておしえてください。
これまでのエグゼクティブサーチファームの多くは、企業から「こんな人が欲しいんだけど」というスペックの提示を受け、そのスペックに合致した方を探し出し、その方にその求人企業だけを提案するというスタイルが多いと思います。これは、限られた方々へのアプローチですし、候補者の方からするとご自身の意向や選択肢というものが無い状態で、結果的に企業から見ても可能性や選択肢が狭くなります。
当社ではキャンディデートに軸足を置き、より魅力的でテーマ性のある企業や案件を、先入観を持たずにマッチングさせていただくことが大切だと考えております。それはそのほうが双方にとって選択肢も広がり、可能性が最大限に広げられ、結果的には適材適所が実現できると考えるからです。そのために、企業のニーズの把握やキャンディデートの志向や特性タイプの把握をさせて頂いています。
この業界に対して、多くの方は「一匹狼タイプのコンサルタントが自分の担当する企業や担当する候補者だけにクローズドに仕事をしている」という認識をお持ちじゃないでしょうか?実際、特に外資系などはそういうスタイルで活動されている傾向が強いと思います。
当社はそういう意味では、まったく目指しているところが違います。
一例として、当社は各コンサルタント同士が案件やキャンディデイトに対してコラボレーションすることが多いですし、その結果、1+1=2ではなく3とか4になるようなそんな会社です。案件によっては、プロジェクトで対応するようなケースもあるんですよ。
何事に対しても、コンサルタント自身の力量に加え会社や組織として取り組もうとするところがこのエグゼクティブサーチの業界においてはちょっと異質かもしれませんね。
「個別のマッチング」ではなく、想像力を働かせてコラボレーションしていくことによって「意外性のマッチング」というものが結構出てきて成果につながっています。
そんな中で、お客様からのご期待やご評価はいかがですか?
やはり、「リクルートグループ」ということもあり、高い信頼と大きなご期待をいただいております。事実、国内・外資の事業会社や大手、中堅、ベンチャーに至るまで幅広く支持を頂いておりますし、昨今はファンド・VCの各社からも多くの案件をご相談頂ける様になっており、実績及びクオリティも高いとのご評価を頂いております。それに伴って認知度もアップしてきていますね。
これまでリクルートブランドは、新卒採用や中途採用、人事制度・人材教育の領域での認知が高いですが、今後は我々のようなエグゼクティブサーチサービスやHRコンサルティング、エグゼクティブコーチングなど含めて、より上流の経営課題から総合的にサービスを受けたいといった期待も高くなっていくでしょう。その点からも「経営者」「エグゼクティブ」というマーケットに対しては更なるブランド構築の伸びしろがまだまだあると感じております。