「満席で採用できない。ラーメン屋か?」
先日
真面目で一本気だけど不器用な
人材紹介コンサルタントAさんと
ご相談させていただきました。
「こんな真面目で不器用なAさんを温かく育てていただけるのはX社様だ!」
と思い、社長さんにご紹介しました。
しかし
社長さん:「武谷さん、申し訳ないけど、オフィスが満席になってしまって
今すぐには採用できないんですよ」
私:「なんですと! こんなに気合を入れてご紹介したのに満席で場所が無い?」
社長さん:「本当に済みません。
でも、うちの事情でいつまでもお待ちいただくのは
Aさんに申し訳ないので
一旦はお見送りとさせてください」
私:「えー! こんなに気合を入れてご紹介したのに 『お見送り』 ?」
社長さん:「いやいや、採用は継続するつもりでいますよ。
ただ、今は満席で座る場所が無いので受け入れられないんですよ。
また、採用再開した時に、もしAさんがまだ決まってなければ
その時は是非とも面接させていただきます」
私:「満席で採用できないとはラーメン屋みたいですね。御社のご事情をAさんに話してみます」
こんなにタイミングが悪く
「行列が絶えないラーメン屋」
みたいな話がありましたので
早速、Aさんに連絡しました。
私:「Aさん、大変申し訳ございません。
私があれほどの勢いでご紹介しておきながら
X社様は、現在オフィスが満席で受け入れられないそうです。
しかし、下半期に採用を再開される可能性が高いそうですので
その時に、Aさんがまだ転職活動中だったら、是非とも面接したいとの事です」
Aさん:「そうですか。そんなに謝らないでください。
武谷さんの責任じゃないですよ」
私:「いいえ、私の責任です。
人材紹介コンサルタントとしては、もうすぐ満席になりそうかどうか?
それぐらいの事は把握しておかないといけません」
Aさん:「武谷さん、ラーメン屋じゃないんですから(笑)。
私は食べたいラーメンなら待ちますよ。
私は、武谷さんが強く薦めていただいた、X社様の採用再開を待ちます!」
私:「本当ですか?」
Aさん:「だって、転職は私にとって初めての一大事です。
焦って、まずいラーメンを食べたくありません。
それに、今すぐ入社しろと言われても困ります。
現職は初めてお世話になった会社です。
私も引継ぎはしっかりやって円満退職したいんです!」
私:「Aさんは立派ですね。
そういう律儀な所こそが、X社様向きだと思います。
わかりました。X社様の採用再開を待ちましょう!」
という展開となりました。
そして、1か月後
X社様の社長さんに連絡しました。
私:「社長、Aさんはまだ御社の採用再開を待ってますよ。どうされますか?」
社長さん:「まだ待ってる! 有難いですね。そんなに意欲があれば、是非面接します!」
という、温かいお言葉をいただきました。
その後
X社様とAさんの面接が実施されて
Aさんは見事、内定を獲得されました。
私:「社長、この度は、Aさんをご採用いただき、誠にありがとうございます。
ところで、オフィスは満席なんですよね? どうするつもりですか?」
社長:「社員全員が毎日出社するわけじゃなく、一人二人はリモートワークですから
Aさんには、しばらく、その日に空いている席に座っていただきます。
そして、3か月後ぐらいには、オフィスを拡張する計画があります。
それまで何とかやりくりします。
Aさんのような人材を、満席だからと言って逃すのはもったいないですから。
この度は、私が我儘な事を言って、Aさんにも武谷さんにも、申し訳ございませんでした」
私:「社長、満席で採用できないなんて、行列が絶えないラーメン屋かと思いましたよ(笑)。
何とか融通して、Aさんを受け入れていただき、誠にありがとうございます!」
「ひとの世の幸不幸は
人と人とが逢うことから
はじまる
よき出逢いを」 みつを
合掌。