「取引停止覚悟で社長に物申す」
長年
お付き合いいただいている
立派な社長さんがいらっしゃいます。
東大卒。
就職後、数年して渡米。
帰国後
ハイテク商社の営業部長。
その後、米国スタートアップ企業の
日本法人立ち上げ社長。
米国本社が、NASDAQ上場。
日本での高業績が評価され
米国本社副社長にも就任
という凄い人です。
私は、そんな社長を尊敬して
アポイントも取らず
ちょくちょく訪問させていただきましたが
いつも温かく対応していただきました。
社長も
たたき上げの営業出身なので
営業の気持ちがわかるんです。
仕事ができるだけではなく
とても情のある方です。
ある日
私はいつものように
アポイント無しで
社長宛、訪問しました。
訪問目的は
マネージャー候補人材のご紹介でしたが
社長はいつになく
大変お忙しそうでした。
私:「社長、今日は新たなご提案に参りました」
社長:「悪いけど、今日は忙しいんだよ。
日を改めてくれない?
採用ばかりが社長の仕事じゃないからさ
そればかりに手間暇かけられないよ。
今日は帰ってくれる?」
私:「・・・・・。
『採用ばかりが社長の仕事じゃない』 ?
『そればかりに手間暇かけられない』 ?
そんな事を本気で言ってるんですか!
立ち上げの今こそ
人材採用が最も重要な仕事じゃないですか!」
その瞬間、社長の顔色が変わりました。
絶対怒られて
取引停止になると思いました。
しかし
社長:「・・・。
うん、確かにそうだよね。
ごめん、悪かった。
ちゃんと話を聞くから
説明してくれる?」
この言葉を聞いた瞬間
感動して
少しの間、私は何も言えませんでした。
アポイントも取らずに訪問した
無礼な私の暴言でも
正面から受け止めて
聞いてくださった社長の
人間の大きさを感じました。
その後
会社のご発展と共に
益々取引が増えました。
私は毎月
社長を訪ねて行きました。
私:「社長、今日は一緒に昼飯を食いませんか? 私がおごりますから」
社長:「その昼飯は、随分高くつきそうだな(笑)」
という感じで
ランチを食べながら
定食屋さんで
商談させていただきました。
そんなお付き合いが
その後
更に大きなドラマに発展しました。
「ひとの世の幸不幸は
人と人とが
逢うことから
はじまる
よき出逢いを」 みつを
合掌。