「ビズリーチにどこまで依存するか?」
人材紹介会社の社長さんと話していると
この課題を相談される事が多い。
全成約件数の50%以上を
「ビズリーチ」 に依存している
人材紹介会社も少なくない。
ここまで依存率が高まると
東京電力だけに電力供給を依存している会社と同じで
私は 「軍門に降る」 という言葉を使っている。
(「軍門に降る」の意味)
・戦争に負けて、敵軍に降伏することで、現在では、試合や勝負事に負けて
相手に屈服することの意味で用いることが多い。
ビズリーチが作った
「釣り堀」 でしか
魚を釣れない漁師になったという事であり
もはや 「漁師」 = 「人材紹介コンサルタント」
とは名ばかりかもしれない。
今や
「釣り堀」 で上手にたくさん釣れる人を
「優秀な人材紹介コンサルタント」
と呼ぶ時代になったのか?
また経営的な視点からは
以前はあまり気にしなかった
「原価」 という大問題が出て来た。
過去はたまたま
業務提携先とのコラボで成約した場合だけ発生していた
「原価」 という問題が
「ビズリーチ」 の登場で
大きな経営課題になったのだ。
勘定科目の分け方にもよるが
基本的に過去の転職サイトやネット広告に掲載していた
登録者募集広告の費用は
「広告宣伝費」 として計上されていた。
従って
「原価」 ではないという考え方であったし
「成功報酬の30%を支払う」 などという
高額な負担でもなかった。
人材集客の勘定科目は
「広告宣伝費(マーケティングコスト)」 という考え方は
リクルートエージェントでも
JACリクルートメントでも同様であった。
しかし
「ビズリーチ」 の場合は
個別の成約金額に対して課金されるので
これは明らかに 「原価」 だろう?
過去のP/Lではほとんど出てこなかった
「原価」 を毎月相当な金額計上することになる。
従来の人材紹介業では
「売上」 ≒ 「粗利益」
という収益構造が常識だったが
このセオリーが覆された。
そのため
「ビズリーチ」 に依存する人材紹介会社は
常に 「原価」 というものを
頭に入れて経営をしなければならない。
粗利益率が下がるという
経営的な重大課題に直面している。
粗利益率が下がる分は
売上増加か経費削減で対応するしかない。
ただ
天下の 「ビズリーチ」 に登録されている方々の
質や人数、職種のバラエティー
紹介しやすい優秀層が多い事など
圧倒的に豊富なリソースを考えれば
使わないと仕方ないというのが実態だ。
悪いことばかりではない。
・多くの人材に多くのエージェントがアプローチすることによって
紹介漏れなどの機会損失は減る。時には斬新な求人提案も増えるだろう。
・多くのエージェントが同じ釣り堀で戦う事によって、提供サービスの質が向上するはず?
・クライアントに対して 「とりあえず人材はいます!」 と言えるようになったので
あとは何とかスカウトで引っ張れば、難しい案件も決められるかもしれない。
更に、人材紹介会社から依頼される
人材紹介コンサルタントの求人にも
ちょっとした変化が出てきた。
以前は
「法人営業に強い人がほしい」
という依頼が多かったが
最近は
「人材に強い人がほしい。求人豊富だから、スカウトや面談スキルが高いコンサルタントがほしい」
という依頼も増えてきた。
このように
「ビズリーチ」 は
この業界に大きな影響を及ぼしている。
こんな凄いスカウトサイトが
突然サービスを中断したらどうなるのだろう?
「転ばぬ先の杖」 はしっかり準備しておきたいものだ。
ホンモノの 「漁師」 は釣り堀を必要としない。
と言いながら
私も 「ビズリーチ」 にお世話になる日が来るかもしれない(笑)。
「ビズリーチ様、お手柔らかにお願い致します」
しかし、未だ軍門に降らず。
できれば
「マグロの一本釣り漁師」
になりたい。
「アノネ
ひとのことじゃないんだよ
じぶんのことだよ」 みつを
合掌。