「大手からスタートアップの覚悟は？」

失礼な言い方ですが

世の中の多くの人から見ると

「贅沢な希望」　を持ちながら悩んでいた

優秀なビジネスパーソンＡさんと

ご相談させていただきました。

人材紹介コンサルタントは未経験ですが

無形商材の法人営業で

提案営業バリバリの優秀な方です。

プレイングマネージャーとして

部下数名の指導・育成もやっています。

東大卒で

有名大企業に就職され

現職の周囲も良い方々ばかりで

人間関係も良好です。

土日は不定休という

大変な忙しさですが

今の仕事は大好きで

年収や福利厚生面でも恵まれています。

こんなＡさんがなぜ転職したいのか？

不思議ですよね。

転職理由は下記のようなものです。

1　現職は良くも悪くも歴史ある会社なので、保守的な社風で変化が乏しい。

2　社員が新卒プロパーばかりでモノカルチャー。もっと多様な人がいる会社がいい。

大企業特有の旧き良き環境なんです。

従って

最大の転職・志望理由を簡潔に言うと

「保守的モノカルチャー組織から、革新的なカルチャーで多様性豊かな組織へ」

という事です。

そこで問題になるのは

「その希望がかなうなら、他の条件は妥協できるのか？」

という事です。

人材紹介コンサルタント皆さんは

このようなケースによく遭遇すると思います。

ところが、ご存知のように

そんな簡単にはいきません。

更に、他にも付随する希望条件があります。

3　現職と同様、無形商材営業で、社会に影響を与えられる人材コンサルタントになりたい。

4　長く働ける人事制度が整っていて、最初は少し年収が下がっても、すぐに元に戻る会社。

上記３は全く問題ないのですが

上記４の希望条件を保証できる会社は

この人材紹介業界では

なかなか見つかりません。

しかし、上記４の「年収」は

ご本人のパフォーマンス次第で上がる可能性が高いです。

Ａさんの能力を持って全力で取り組めば

人材紹介コンサルタントに転職しても

いずれ年収は上がるでしょう。

結局、Ａさんの希望を整理すると

「雇用条件は大企業の良い部分を踏襲しつつ、カルチャーは革新的企業が良い」

という事になります。

今の世の中で

こんな希望が通る会社は珍しいと思いますので

失礼ながら

「贅沢な希望ですね」

と申し上げました。

「職場環境はスタートアップに変えたいけれど、大企業並みの雇用条件を維持したい」

いつの間にか

ご本人自身が旧い大企業のカルチャーに染まっている

と感じました。

従って、ハッキリ申し上げました。

「Ａさんは転職しない方がいいですよ。

もし転職したら、すぐに今の会社が恋しくて仕方なくなるでしょう。

覆水盆に返らず。

Ａさんは大企業向きの人です。今は隣の芝生が青く見えているだけです。

年収が下がる事を覚悟できないかぎり、転職しない方がいいですよ」

その結果

こちらの真意をご理解いただいき

Ａさんは転職活動を中止されました。

その後

大変ご丁寧なお礼のメールもいただきました。

やはり素晴らしい方です。

大企業に１０年以上いて

いきなりスタートアップに転職したら

ほとんどの人が

長くても３年以内に転職します。

組織風土や仕事のスピードが全く違うので

余程の覚悟と柔軟性がないと続きません。

転職を思いとどまっていただくのも

人材紹介コンサルタントの仕事です。

無理に転職させて

そんな事でお金をもらっても

自分の仕事に誇りが持てません。

自分の子供に

胸を張って話せる

そんな仕事をしたいですね。

「いちずに一本道

いちずに一ツ事」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　みつを

合掌。