「人間だからこそできる人材紹介」
先日
ご相談いただいた人材紹介コンサンタルトAさんは
「一人に100社も紹介すれば、必ずどこかに決まりますよね?」
と、おっしゃいました。
同じ人材紹介会社
同じ人材紹介コンサルタントと言っても
様々なビジネスモデルがありますね。
私は昔から
お一人に対して
あまりに数多くの企業をご紹介するのは
好きではありませんでした。
基本的に
個々人のご経歴や志向を尊重しつつ
企業経営者の方針や社風なども調べて
多くても5社程度に絞って
ご紹介していました。
Aさん:「武谷さんは、なぜ、その会社を私に紹介するのですか?」
私:「●●●の理由で、この会社をAさんにご紹介しました。」
というように
ご紹介する理由をハッキリ言えないと
応募される方の納得感を醸成できませんし
応募意欲も上がりませんから
結果として
内定率や入社率も低くなってしまいます。
わざわざ人間が
人材紹介をやる意味を考えないと
AIに負けてしまいます。
以下、そんな私と、Aさんとの会話です。
Aさん:「一人に100社紹介すれば、どこかに決まりますよね?」
私:「確かに、100社も紹介すれば、どこかに決まるでしょうね(笑)。」
Aさん:「だから私は、できるだけ数多くの会社をご紹介しています。」
私:「それも一つのやり方かもしれませんね。私の方針は違いますが。」
Aさん:「それを聞きたかったんです。武谷さんが、社数を絞って紹介する理由はなんですか?」
私:「その会社をご紹介する理由を、ハッキリ伝えたいからです。」
Aさん:「紹介する理由なんて必要? 内定した会社の中で、本人が選べばいいじゃないですか?」
私:「そんな応募者任せの仕事は、人材紹介業と言えますかね?」
Aさん:「え、どうしてですか?」
私:「100社紹介して、内定した会社の中から選ばせるなんて、直接応募と何が違いますかね?」
Aさん:「でも、面接設定など連絡業務は私がやってますよ。その連絡業務が大変なんです。」
私:「連絡業務だけであれば、企業と応募者が直接やれば済みますよね?」
Aさん:「でも、自分で1社1社応募するより、まとめて100社応募する方が効率的ですよ。」
私:「そんな事は転職サイトでも簡単にできますよね。Aさんの介在価値は何でしょうか?」
Aさん:「数多くの会社に、数多くの人材を紹介する事です。」
私:「それは理解できます。企業と人材に、できるだけ多くの機会を提供する事ですね?」
Aさん:「その通りです。」
私:「Aさん、今はそんな仕事で何とかなっても、将来、Aさんの仕事は無くなると思います。」
Aさん:「なぜですか?」
私:「誰でもできる仕事ですし、人間が介在する必要がないからです。システム対応可能ですよね。」
Aさん:「はい、うちの会社はシステムを駆使しています。システムに大きな投資をしています。」
Aさんの仕事は
若年層のITエンジニアに特化した人材紹介なので
「数多くの企業」 × 「数多くの人材」
という仕事のやり方も理解できます。
今現在は、これはこれで有りでしょう。
ただ
「100社応募しても、入社する企業は1社」 *他の99社は不合格か辞退。
「100人面接しても、採用できる人材は一人」
「100分の一」 の確率ですね。
私たち人材紹介コンサルタントとしては
採用企業や応募される人材という
お客様の労力・負担を軽減する事は
当然の役割です。
更には
人間だからこそ感じ取れる
アナログな深い情報や
何らかの気づきをご提案できるような
「介在価値の高い仕事をしたいな」
と、あらためて感じました。
「にんげんだもの」 みつを
合掌。