「私の年収が高すぎた！」

間違って

一度高い給料をもらうと

後が大変です。

高いといっても

せいぜい１０００万円単位の話です。

世の中には

年収が何億・何十億の人もたくさんいますので

それに比べたら屁みたいな話です。

ただ、２０代や３０代で

一度、１０００万円以上の年収をもらったら

転職先の幅が狭くなりますね。

年収なりに

生活費も膨らんでしまいすよね。

まして、住宅ローンや育児にも

お金がかかる時期です。

社内外の付き合いもあります。

ビジネスパーソンとしては

一番あぶらが乗る時期です。

「ここで一発頑張って、取締役にでもなってやろうかな！」

と野心を抱く人もいます。

しかし

何かのはずみで部長になったり

取締役になったりすると

後が大変です。

例えば

無能な私でも

３５歳時の年収が１６００万円ぐらいだったんです。

だいたいリクルートは

実質４０歳定年ですから

３０代の年収が比較的高いのです。

そして３８歳の時に諸事情あって

当時のリクルートエイブリック（現：リクルートエージェント）を

辞めることになりました。

「さあ次はどうしようかな？　

俺なんかに転職先は無いだろうな」

と思っていたら

唯一レジュメを預けていた

元上司のヘッドヘッドハンターから

「ＪＡＣって知ってる？」

と声をかけられたのです。

私：「知りません。その会社は何をやっている会社ですか？」

ヘッドハンター：「知らないの？　同じ人材紹介会社だよ。神ちゃんも知らない？」

私：「え？　知ってるどころか、昔リクルートで一緒に仕事をしました。

　　彼は１年後輩ですが、大変世話になりました。

　　一緒に仕事もしたし、飲みにも行ったし、彼がロス駐在だった時に出張して

　　結婚パーティーにも出席しましたよ。」

ヘッドハンター：「それなら話は早い。神ちゃんがＪＡＣで取締役をやってるんだよ。会ってみない？」

私：「あー、そうですね。会うだけなら懐かしいし、いいですね。」

こんな展開で都内のホテルで

神村さんと久しぶりに再会したんです。

懐かしくてドロドロに飲みました。

神村さん：「武谷さん、一緒にやりましょうよ。是非、うちの会長に会ってください。」

と口説かれまして

後日、会長ご夫妻の熱い熱い

５時間もの面接を受けました。

その場で

会長：「貴方、ところでいつから来れるの？」

と絶対断れない

迫力満点のクロージングをされ

約２か月後に入社させていただきました。

問題は私の年収だったと思います。

私の年収が

当時のＪＡＣとしては高くて困ったと思います。

「うん、仕方ない。

ここでけちって辞退されるより思い切って出そう！」

という感じだったでしょう。

そして

神村さんがホテルのラウンジに

オファーレターを持って来てくれました。

その場で条件を確認しました。

固定給は少しだけ下がりましたが

決算賞与など含めて考えますと

十分満足でした。

当時はまだ

社員４０人だったＪＡＣが

よくここまで出してくれたと

心から感謝しました。

全てはご縁だと思って

有難く入社させていただくことにしました。

そして、入社後何も成果を出していないのに

９ヵ月後に社長になってしまいました。

今思えば、社長就任は辞退するべきでした。

ＪＡＣでは何も実績が無いのですから。

社長になると

更に年収も上がってしまいます。

現場で働いている社員（人材紹介コンサルタント）に申し訳ないです。

だから、目標達成できなかった月は

給料を自主返納しました。

でも、生活面で色々な事にお金がかかるし

やっぱりお金をいただけたのは

大変有難かったです。

更に、会長からは

「自由に使いなさい」　と

コーポレートカードも持たせていただきましたが

さすがにそれは使えませんでした。

飲み食いは全て自腹

社員と一緒の場合は

自分が全額払う

というのは守りました。

大阪出張の際に

幹部社員の人からは

「武谷さんは、なんでウエスティンホテルに泊まらないんですか？」

と言われてましたが

「俺は近くて気楽な三井ガーデンホテルがいいんですよ」

と言っていました。

「だって何も結果を出してないから、そんなの申し訳ない」　

というのが、本当の気持ちでした。

このように

一度、分不相応な給料をいただくと

後が大変です。

自分の能力、身の丈に合った年収をいただきましょう。

私ような凡人は

質素な生活をしましょう。

その後、リクルート時代の後輩に会うと

退職時年収が１８００万円とか２０００万円とかいう人もいました。

「俺も言えないけどさ、お前の年収は高すぎるよ」

という給料をもらってますから

８０～９０％の人は

最初の転職先で失敗します。

リクルートと異なる環境では

給料に見合う働きができないからです。

それだけ、リクルートのブランド力や

オープンでフラットな社風、仕組み

社員のモチベーションの差は大きいのです。

高い年収に毒されると

その後、３社目・４社目でも

長続きしなかったりします。

まさに私の負けパターンです。

これが　「高年収の代償」　です。

キャリアアップどころか

最後はドロップアウトしてしまう人もいます。

周囲の知人で失敗しなかったのは何人だろう？

環境変化に適応できる

そういう人たちはホンモノです。

ホンモノは何千万円でも

何億円でも給料をもらってください。

でも、私のような凡人は凡人なりに（笑）。

「かねが人生の

すべてではないが

有れば便利　

無いと不便です　

便利のほうが

いいなあ」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　みつを

合掌。