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社長ブログ 人材コンサルタント25年史

「社長を追い詰めるな」

「社長を追い詰めるな」

以前

人材紹介会社X社様の社長さんに

「この人は優秀な人材コンサンタルトだから内定するだろう!!」

と思った人材を

自信を持ってご紹介しました。

しかし意外にも、面接結果は下記のようなものでした。

社長:「本当に優秀な人ですね。

   しかし残念ですが、今回は見送りたいと思います。」

私:「えー!! 不合格という事ですか?」

社長:「いやー、不合格なんて、そういうわけではないんです。」

私:「それでは、どういうわけですか?」

社長:「いや、私も大変良い方だと思います。

   ただ、社内で慎重に検討した結果

   『今の当社の状況には合わないかもしれない』 という話になりまして・・・。

   大変申し訳ございません。」

私:「『今の当社の状況には合わないかもしれない』 とは具体的にどういう事でしょうか?」

社長:「いやー、それはですね、組織的なバランスと言いますか・・・。

   もう少し若い人がいいかもしれませんね。」

私:「えー、もっと若い人ですか? そんなご要望、おっしゃってませんでしたよね?」

社長:「いやー、以前お会いした時から当社の状況も変わりましたので・・・。」

「うん? 何かまずい雰囲気だな。社長さんは困ってるな。これ以上問い詰めても仕方ないな。」

社長さんは

既に断る事を決断されてから

わざわざご丁寧にお電話いただいている。

それなのに

「理由は何か?」 と厳しく問い詰めても

はっきりとは言えない事情があるんだろう。

ちょっと態度を変えよう。

私:「あー、そうでしたか。

  それは色々と状況も変わりますよね。

  残念ですが、今回はお見送りとの事、承知致しました。」

社長:「いやー、折角素晴らしい方をご紹介いただいたのに、大変申し訳ございません。

   また良い方がいらっしゃれば、是非ご紹介ください。」

私:「こちらこそ、ご期待に沿えず、申し訳ございませんでした。

  今後とも宜しくお願い致します。」

これが

「社長を追い詰めるな」

という主旨です。

思慮深く優秀な社長さんが

悩んだ末に出された苦渋の結論です。

当然、断るにはそれなりの理由があるのでしょうが

その理由をはっきり言えない事情があるから

「そこを何とか察してくれ」

という意味だと思います。

従って

「社長を追い詰めるな」

というのは

野暮な突っ込みを入れ過ぎて

「お客様との関係を台無しにするな」

という意味です。

本来

人材紹介コンサルタントの責務としては

ご紹介した企業から

不合格理由をしっかり聞いて

応募された人材にフィードバックさせていただき

次の面接に活かしていただくという事が大切ですが

場合によっては

赤裸々な不合格理由を回収できない

という事もあります。

そんな場合は

応募された方に

「面接の際に何か気になった事はありませんでしたか?」

というような質問をさせていただき

自分の想像力を働かせて

「面接の評価は高かったのですが、協議の結果、組織構成の問題でお見送りになったようです」

というように

ご本人が自信をなくされないよう留意して

お伝えするしかないかもしれません。

社長さんにも

お立場がありますし

言える事と

言えない事があるでしょう。

大変悩ましい案件でした。

「だれにだって

あるんだよ

ひとにはいえない 

くるしみが

だれにだって

あるんだよ

ひとにはいえない 

かなしみが

ただだまっている

だけなんだよ

いえばぐちに

なるから」                                         みつを

合掌。

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プロフィール


武谷 広人
人材ビジネス経験の蓄積と、自らのトップマネジメント経験を強みとする。経営幹部から専門職まで約500件の案件を成功に導く。

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