「市場価値って、つまらない言葉だ」
人数は少ないのですが
時々、就職活動中の学生さんから
メールでご相談を受けることがあります。
その中で、よく目にするのが「市場価値」という言葉です。
例えば
「A社とB社から内定を貰っているのですが
数年後転職する時どちらの方が
市場価値が高いでしょうか?」
「人材紹介業のようなサービス業と
製造メーカーでキャリアを積むのとでは
どちらが市場価値や市場評価が高いのでしょうか?」
といった具合です。
そもそも「市場価値」とは何なのでしょう?
給料が高い人ということでしょうか?
転職するのに有利だという意味でしょうか?
世間的に知名度が高く「良い会社だ」と言われることでしょうか?
この言葉は
我々人材ビジネスに携わる人間が
作り出したものではないかと思うので大いに反省ですが
自分にとって働くことの価値や意味を見出さないまま
この言葉を乱用することに疑問を感じます。
「市場価値」が高ければどうなのでしょうか?
自分の「市場価値」を上げてどうしたいのでしょうか?
仕事とは自分自身が考える幸せな人生
自分自身が充実した人生を送るために必要なものであって
世間相場で相対比較するものではないと考えます。
個々人のキャリアの評価は
その人が成し遂げた事に対してついてくるものであって
何となく市場価値が上がるものではないでしょう。
そんな主体性のない相対比較ばかりしてどうするのでしょうか?
まだ若い学生さんからの
このような質問を目にするたびに
人材紹介ビジネスに携わる我々の責任を感じます。
人材紹介会社の社内で
「この人は売れるね・売れないね」などと言っている
人材コンサルタントもいるので
「市場価値」などと言う空疎な言葉が伝染するのではないかと。
職業選択は大切なことですが
本当に大切なのは
「何を選ぶかという事よりどう生きていくのか?」
ということですよね。
人材紹介会社が増え
インターネットの普及により就活サイトや転職サイトも増え
誰でも多くの情報を簡単に収集できるようになりました。
でも、本当に大切なのは情報量ではありません。
どこを選択すれば得で
どこを選択すると損をするか?
という相対比較でもありません。
自分が何を大切に考えて生きていくか?
そのために、どんな仕事を選択し
その仕事とどう向き合うか?
それを考える貴重な機会が就職活動であり転職活動です。
「市場価値」より大切なものが就職や転職にはある。
この先の人生を考える貴重な機会なのです。
その事を、就職活動中・転職活動中の方々だけではなく
何より人材コンサルタントである
我々が忘れてはいけない事だと考えます。
「自分が自分にならないで
だれが自分になる」 みつを
合掌。