「エージェントはダイレクトリクルーティングに勝てるか?」
「ダイレクトリクルーティングが普及すると
人材紹介会社は無くなるかもしれない」
と、おっしゃる方も少なくありません。
昔のリクルートでも
そのような仮説の下
シンクタンクに依頼して
米国の人材ビジネスの市場調査などもやった。
それから20年以上経過した。
結論、人材紹介会社が無くなる事はない。
むしろ、昔の求人情報誌と同じく
共存共栄・相互補完関係になるであろう。
実際、今のビズリーチとエージェントとの関係は
そのようになっているではないか?
ただ、採用経費削減のため
「人材紹介会社は高いからできるだけ使うな!!
何のためにリクルーターがいるんだ!!
もっと、ダイレクトリクルーティングに注力しろ!!
できるだけ安いコストで優秀な人材を採用しろ!!」
などと、経営者から檄が飛んでいる会社は多い。
実際、ダイレクトリクルーティングは
ビズリーチをはじめ隆盛である。
しかし、私がリクルーターだったら気が狂ってしまうだろう。
毎日、採用ターゲットを探し
スカウトメールを送り
面接に呼び込む。
更に、面接官とのスケジュール調整を行い
駄目だったら再調整・再連絡などする。
そして、面接不合格者にはその旨通知する。
また 「何とか二次面接だ」 と思ったら辞退され
上司や現場に怒られる。
「やった。社長面接もOKで内定だ!!」
と喜んで内定連絡を送ったら
「済みません。
ちょっと給与が低いと妻に反対されまして・・・・・。」
などど言われ
「ここまで来て辞退はないだろー!!」
となったりする。
ここまでかけた求人広告費
労力(リクルーターや面接官の人件費)
更に、徒労感による精神的・肉体的ダメージを考えると
本当にダイレクトリクルーティングは安いのか?
という話になる。
採用実務はこれほどややこしく煩雑であり
社長や役員が思っているほど
リクルーターの仕事は楽ではない。
人事スタッフは採用だけやっているわけじゃない。
「じゃー、採用実務をアウトソーシングすればいいじゃん?」
となるが、RPOに頼めば結局コストは高くなる。
「えー!!
こんな事なら最初から人材紹介会社に頼めばよかった。
そうしておけば、今頃は他の仕事も片付いていたのに!!」
という訳で、人材紹介業は無くならない運命にはある。
「無くなるかもしれない!!」
と危機感を煽る人が日本人には多いが
悪い事ではない。
人材紹介会社や
個々の人材コンサルタントが
いい加減な仕事をしていると
本当に無くなるかもしれない。
常にそういう危機感は必要だ。
既に、求める人材の付加価値によって
年収の30%、35%も課金できないケースもある。
当然の市場原理だ。
ターゲット人材の採用市場での需給バランスや
求人企業の採用力によって
FEEが変わるのは当然だ。
「エージェント」 という英語を使うとわかりにくいが
「代理人」 としての真価が問われている。
同業者の皆さん
良い仕事をして生き残りましょう。
「生きているうち
はたらけるうち
日のくれぬうち」 みつを
合掌。