「やらない事を決めれば、やるべき事に集中できる」
2013年12月に書いたブログです。
特に、大手人材紹介会社のコンサルタントの皆さんは
会議や社内ルール付帯業務やシステム入力などの
社内業務も多いでしょうね。
できれば、お客様に100%の力を使いたいですね。
「やらない事を決めれば、やるべき事に集中できる」
先日訪問したクライアントの社長さんが悩んでいました。
社長さん:「どうしても人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)の
個人差が大きくて困っているんですよね。」
私:「そうですよね。
差の大小こそ様々ですが
どこの人材紹介会社も同じ悩みを抱えていますね。」
社長さん:「5000万円売れる人もいれば、1000万円の人もいます。
1000万円の人の方が多いので利益が出ません。」
私:「1000万円の人でも辞めさせないで
雇用し続けていらっしゃるというのは
社長は温かい方ですね。」
社長さん:「良く言えばそうかもね。
創業以来リストラしない主義ですから。
しかし、それが良いのか悪いのか?」
私:「他の人材紹介会社では1000万円しか売れない人はいられなくなります。」
社長さん:「そうですよね。
私も何とかならないかと思って
あの手この手で刺激を与えているつもりなんですが
長年この社風に馴染んできた人ばかりですから
なかなか変わらなくて。」
私:「安易に人を辞めさせない会社は今時珍しいですし
個人的には尊敬します。
ただ、業績低迷が続くと社内の雰囲気も沈滞しますし
益々抜け道が見つからなくなりますから
どこかで厳しい決断も必要かもしれませんね。」
社長さん:「そうかもしれません。
給与制度なども実力主義の体系に変えたり
コンサルタントによっては得意な事だけやらせたり
様々な試行錯誤はしているのですが。」
私:「迷宮にはまりますよね。
私もマネジメントがうまく行かない時は同じでした。
試行錯誤しても効果が出ないですよね?」
社長さん:「そうなんですよ!!
どうしたらいいと思いますか?」
私:「私も独立して一人になり
プレイヤーに戻って実感したことがあります。」
社長さん:「なんですか?」
私:「無駄な事をやらない事が大切だと思います。」
社長さん:「色々やっては駄目ですか?」
私:「そうですね。
あれもこれもとやる事を増やすと
やらないでもいい事も増やしてしまいます。
本当に集中してやるべき事にパワーを割けなくなりますよね?
そうなると業績は確実に低迷します。」
社長さん:「なるほど。」
私:「さっさと
やらない事を先に決めて、
やるべき事だけにコンサルタントを
集中させることが大切だと感じています。」
社長さん:「実際にはどうしたらいいんですか?」
私:「トップコンサルタントの暗黙知を形式知にすることです。」
社長さん:「うん?」
私:「個性や基礎能力の違いもあるので
トップコンサルタントの完全なコピーはつくれません。
でも、やり方によっては、トップコンサルタントの判断軸を形式知にできます。」
社長さん:「具体的には?」
私:「トップコンサルタントは直感的に求人を三つぐらいに分けています。
①絶対に決めたい求人
②できれば決めたい求人
③決まらない求人
のような感じです。」
社長さん:「なるほど。」
私:「三種類に分けられるのに
全ての顧客に対して平坦に同じパワーを使ってしまっては
業績が上がるわけがありません。
限られた労働時間の中で生産性を上げるには
残念ながらサービスに濃淡をつけるしかありません。」
社長さん:「理屈はわかりましたが
具体的にどうすればいいですか?」
私:「トップコンサルタントの方に
他のコンサルタントの求人に関しても仕分けをしてもらってください。
そして、注力する求人を絞り込んでください。
毎朝、求人仕分けミーティングの場で繰り返しやれば
トップコンサルタントの暗黙知が形式知化されます。
一人のコンサルタントが注力する求人を10~20件に絞って
優先順位が変われば随時入れ替えをしてください。」
社長さん:「なるほど。
あまり考えてなかったです。」
私:「トップコンサルタントの方にそれをやっていただく事によって
ご本人の売上は一時的に落ちるかもしれませんが
他のコンサルタントの売上が平均500万円上がれば
会社は黒字になります。
コンサルタントのスキルを組織的に底上げできます。」
社長さん:「なるほど。
うまく行けばそうなりますね。」
私:「御社は社員同士の仲が良い会社ですから
そういう試みも可能ではないでしょうか?」
もちろん、
③決まらない求人
に対して、「なぜ決まらないのか?」 「どうしたら決まるようになるのか?」 という提案を
クライアントにはっきり伝えるのも我々の責務だと思います。
リアルな市場の需給バランスに関しては、クライアントにしっかり伝えなければいけません。
厳しいですが、民間企業として経営を存続させるためには
きれい事だけ言ってられないのが現実です。
「なやみはつきないな
生きているんだもの」 みつを
合掌。