「知人が働いている会社には転職したくない?」
ご相談にお越しになる方の中で
「知人が働いている会社には転職したくない」
と、おっしゃる方は少なくありません。
その理由は色々考えられますね。
・同じ会社で働いていた時の知人の印象が良くなかった。
・転職によって大きく環境を変えたいので、知人がいる会社は避けたい。
・自分の性格や評価を知っている人がいる会社は避けたい。
・明確な理由はないけど、何となく気分的に嫌だな。
人間ですから、わかる気がします。
ところで最近、中途採用時に
レファレンスチェックを実施する会社が増えていますよね。
一般的なレファレンスチェックは
採用候補者に会社の上司や同僚など
一緒に働いた事がある2~3名を指名していただき
採用企業が、その2~3名の方に
候補者のお人柄や仕事の実績をヒアリングして
評価材料の一つとするという事ですね。
当然ながら
候補者の方は
仲の良い人を選んで指名するので
自分に不利な事を言われる心配は
ほとんどありません。
このようなレファレンスチェックには
候補者は面倒臭くて渋々でも
内定を獲得するためには
応じるしかないでしょうね。
一方で、候補者の了解を得ずに実施する
レファレンスチェックも実在します。
過去、候補者と一緒に働いた事がある社員をピックアップして
候補者の情報を密かにヒアリングするという
ある意味で裏のレファレンスチェックです。
ただし、この手段は
個人情報保護の観点からも
公になってしまうと
採用企業にとってもリスキーな手段です。
また、候補者サイドから見ると
「私は誰から何を言われても内定する自信があるよ」
というぐらい自信がある人以外は
あまり望ましくないレファレンスチェックでしょうね。
更に、元上司や元同僚が
多数・複数働いている会社である場合は
安心感があると思う方も多い反面で
自分に対する評価も
賛否両論ありそうで
かなり不安になる人も少なくないでしょう。
採用企業サイドとしては
失敗採用のリスク軽減のために
実施したい気持ちは大変よくわかります。
しかし
候補者の了解を得ていない社員に
ヒアリングを入れるのは
法的リスクの問題と
信義則の問題から
基本的にはお勧めしません。
そこで、先日の日経新聞に
下記、レファレンスチェックに関する記事が掲載されていました。
「中途採用で『前職調査』」:法抵触避け個人から情報
(要約)
「昨秋開始のレファレンスサービスは絶好調。実施数は約5000件になる」。
バックチェックの名で前職調査を提供するROXX社の中嶋社長は話す。
調査はネットで完結する。利用企業は応募者に「同意」を取り、
同社は応募者が名前を挙げた前職の上司・同僚・部下にメールで質問を送る。
回答はアルゴリズムで解析し
①応募者の思考の特徴 ②採用後考えられるリスク ③次の面接で聞く質問
を利用企業に戻す。
「結果が応募者のプラスになるかマイナスになるかは半々だ」(中嶋社長)
人手による調査を続ける調査会社もある。
転職しやすさと企業の採用時の安心が両立する仕組みが求められている。
以上。
まさに 「転職しやすさと企業の採用時の安心の両立」 がテーマです。
しかし、長年レファレンスチェックに立ち会って来た私の意見です。
「面接は何のために実施するのか?」 という基本的な事です。
そもそも、人材紹介会社のプロの面接官であれば
面接で95%は判定できるだろうと考えます。
レファレンスチェックは
あくまで最終確認のために実施するものです。
私が尊敬する社長さんは
ご自身でレファレンスチェックの
電話ヒアリングをされています。
社長:「大きな問題を起こした人であれば
レファレンスチェックの対象者を指名する事にも
苦労するでしょう。
あくまで、そういうリスクを回避するための
最終的な確認作業です。
ヒアリング時間も10分あれば十分です。
合否判断においては
圧倒的に面接に重点があります。」
私は上記の
「合否判断においては圧倒的に面接に重点があります」
という基本中の基本を
大切にしていただく事をお勧めします。
「にんげんだもの」 みつを
合掌。