「人材紹介会社に経営理念は必要か?」
私は、この15年間で
100社以上の人材紹介会社の
社長さんにお会いしました。
そこで、社長さんに質問させていただくのは
「人材紹介業を通じて
何をしようとしているのですか?」
という、事業目的です。
どの会社もホームページには
高尚な経営理念が書かれていても
私の質問に対して
クリアに即答できる社長さんは
それほど多くありません。
もちろん、ビジネスですから
売上や利益を上げなければ
会社の存続もできませんし
社会貢献もできません。
しかし、このビジネスを通じて
「社会にどのような貢献をしたいのか?」
という事業目的があいまいでは
「単なる金儲け」 と言われても
仕方ありません。
以前、私が尊敬する
A社の社長さんから、お電話をいただきました。
社長:「武谷さん、うちの会社の人事給与制度を
もっとより良いものにしたいと考えています。
その制度設計を世界的なコンサルティング会社に
依頼しました。」
私:「それは随分高そうな会社に依頼されましたね。」
社長:「頑張ってくれた社員が
より魅力を感じてくれて
中長期に渡り
当社で働いてもらいたいからです。
そこで、武谷さんにお願いがあります。
そのコンサルティング会社の人が
武谷さんに質問に行きますので
それに答えてもらいたいのです。 」
私:「あー、そういう事ですか。
例えば、コンサルタントを採用する際に
御社と競合する企業はどんな会社で
御社の給与制度は競合他社と比較して
魅力的かどうか?
変えた方が良いと思う点は無いか?
とか、そういう質問を受けるのでしょうか?」
社長:「そうです。
採用時だけでなく
採用後に定着していただくための
制度にしたいと考えています。」
私:「承知致しました。
私がお役に立てるかどうかわかりませんが
人事コンサルタントの方々のご質問にお答えします。」
数日後、世界的に有名な人事コンサルティング会社の方が
3名でお越しになりました。
やはり、ご質問内容は下記のような事でした。
・採用上の競合企業はどこか?
・競合他社との力関係は?
・勝つ時の理由は何か?
・負ける時の理由は何か?
・エージェントとして、A社の人事給与制度は、今後どうあってほしいか?
・競合のB社やC社に負けないためには?
上記のような質問を
1時間半程度、お受けしました。
ただ、私の中で引っかかった質問は
「競合のB社やC社に負けないためには?」
という質問でした。
この質問に対して
私がクリアな回答をできなかったからです。
そこで再度
A社と、競合のB社・C社との違いを考えました。
その結果、「はっとする」 シンプルな答が見つかりました。
経営理念が明確なA社に対して
B社・C社は、理念が無かったり
見た目は良いが表面的だったりして
私には 「金儲け集団」 としか映っていませんでした。
従って、私は
B社・C社には人材をご紹介していません。
その事に気がついたので
人事コンサルティング会社の方々にも
後からお伝えしました。
「理念とビジネスとがバランスしている会社」 と
「理念が無くてビジネス偏重の会社」 との違いが
どのように人事給与制度に反映されるのか?
これは、とても興味深く楽しみです。
皆さんも、転職をお考えの際には
表面的なお飾りに
だまされないでくださいね。
「かねが人生のすべてではないが
有れば便利
無いと不便です
便利のほうがいいなあ」 みつを
合掌。