「採用上の競合他社を意識しないと失敗するよ?」
採用活動とは
まさに、マーケティング活動であり
営業活動ですよね。
例えば、マーケティングで言えば
誰でも知っている 「3C分析」 を意識して
活動しないとうまく行きません。
皆さん、ご存知の通り
「Customer(市場・顧客)」
「Competitor(競合)」
「Company(自社)」
という、3つのCです。
採用活動の場合は
「Customer(市場・顧客)」 ⇒ 「採用市場とターゲット人材」 という事になります。
具体的には
・採用市場の動向(売り手市場か買い手市場か?)
・ターゲット人材の顕在的・潜在的ニーズ・興味関心は何か?
・ターゲット人材の在籍企業、情報収集や転職活動方法は何か?
このような事を調査して
ターゲット人材の志向や行動特性を熟知した上で
それに合った採用活動をしなければ
うまく行きません。
次は
「Competitor(競合)」 ⇒ 「採用活動上の競合企業」 という事になります。
具体的には
・競合他社の業界内でのポジション(規模・知名度・人気度など)
・競合他社の売上・利益など業績状況
・競合他社の特徴(戦略・保有リソースなど)
・人事職やRPOなど競合となり得る別職種の脅威
このような事を意識して
採用活動を実施しないと失敗します。
最後に
「Company(自社)」 ⇒ 「自社の特色と客観的評価」 という事になります。
具体的には
・企業理念やビジョン
・自社の業界内でのポジション(規模・知名度・人気度など)
・自社の特徴、強み、弱み
・自社の戦略とヒト・モノ・カネの保有リソース
このような事を客観的に評価して
採用活動を実施しないと失敗します。
例えば、当社には
エグゼクティブやハイクラス人材の
紹介を得意とされているクライアントが
多数あります。
ただ、各社各様に特色があり
強みとする分野も異なります。
サーチ型か否かなど
仕事の進め方や役割分担も異なります。
もちろん、社風や
在籍しているコンサルタントも異なります。
従って
外部からは同じような会社に見えても
実態には大きな違いがあるわけです。
そこで先日、下記のような事例がありました。
簡単に申し上げますと
「業界内で下位のポジションにある企業A社様が
業界内でトップクラスのポジションにある企業と
全く同じような人材を採用ターゲットにしたい」
という、ご依頼をいただきました。
私:「折角、ご依頼いただきながら
大変恐縮なのですが
現在の御社のポジションで
そのような人材を採用するのは
かなり無理があります。」
A社:「それは、なぜですか?」
私:「大変ストレートな表現で恐縮ですが
そのような人材であれば
もっと上のポジションの企業に
転職できるからです。」
A社:「えー、だって当社は
そのような人材を採用しないと
この先、生き残れません。
何とかなりませんか?」
私:「何ともなりません。
お求めになっている人材は
御社には応募すらしてくれないでしょう。
従って、やる気と適性のある人材を
自社で育ててください。」
A社:「えー、即戦力が欲しいんですよ。
育てる時間はありません。」
私:「率直に申しますが
御社は、業界内でのポジションも下
年収面でも下
人気度も下です。
無駄な戦をするよりも
時間をかけて
有望な人材を育ててください。
将来、業界内でのポジションが
トップクラスになったら
今回ご依頼いただいたような人材を
採用しましょう。
それまでは、努力と忍耐です。」
A社:「えー、何とかなりませんか?」
私:「多分、無理でしょうが
ターゲット人材の採用時の年収を
すぐに2倍にしてください。
それでも厳しいですよ。」
A社:「わかりました。
無理だと思いますが
検討してみます。」
「負け戦」 とわかっているのに
わざわざ戦って
討ち死にする事はありません。
採用を成功させるためには
採用上の競合他社と自社とを
客観的に評価して
現実的なターゲット人材の要件を
再考する事です。
また、それをストレートにご提案する事も
我々、コンサルタントの重要な仕事ですね。
「ほんとうのことが
いちばんいい」 みつを
合掌。