「人事という仕事をなめるな?」
以前からですが
現役コンサルタントの方から
「人事に転職したい」
というご相談をお受けする事が多いです。
今週もお二人から
同様のご相談をお受けしました。
そして、現役コンサルタントのAさんとの会話は
下記のようなものでした。
私:「今回は、なぜご相談いただいたんですか?」
Aさん:「この1年間、必死で働きました。
その結果、業績も上がりました。
ただ、何度目標達成しても
翌月は再びゼロからの始まりで疲れます。
こんな仕事の繰り返しで終わりたくありません。
もっと、自分のキャリアが積み上がるような
人事職に転職したいと思っています。」
私:「そうですね。
コンサルタントだけでなく
営業的な職種はだいたい
毎月・毎Q・毎年、ゼロリセットですよね。」
Aさん:「そうなんですよ。
それが不毛な気がします。」
私:「不毛ですか?
それでは、Aさんがこれまで
クライアントとキャンディデートを
結びつけた仕事は不毛ですかね?」
Aさん:「不毛とは言い過ぎですが
私ではなくて
最終的には
素晴らしいキャンディデートのおかげで
私の業績は成り立っていると感じます。」
私:「それもわかります。
お客様に感謝ですよね。
ただ、クライアントとキャンディデートを見つけて
結びつけたのはAさんの功績ですよね?」
Aさん:「多少はあるかもしれませんが
毎月ゼロリセットではなくて
確実にキャリアが積み上がる仕事がしたいんです。」
私:「それは、人材紹介の仕事でも言える事です。
長く真面目に取り組めば
確実にキャリアも実績も積み上がります。
ところで、Aさんは、人事の仕事内容をわかってますか?」
Aさん:「どういう意味ですか?」
私:「コンサルタントより人事職の方が楽だと
勘違いしていませんか?
私など、とても人事職をやれる自信はありません。」
Aさん:「どういう意味ですか?」
私:「例えば、人事職に転向すると
最初は採用担当者などから始まりますよね?
毎日10人面接して
毎日同じような質問に答えて
毎日同じような質問をして
自分の会社のPRをする。
そして、せいぜい一次面接の合否判定しかできない。
最終的な合否は最終面接官や役員会が決める。
最終決裁権がないのに
採用担当者には採用人数目標があります。
それも毎年です。その結果で評価されます。
Aさんの会社の採用担当の方を見ていれば
よくわかるはずです。」
Aさん:「確かにそんな感じですね。
面接ラッシュで疲れ切ってます。(笑)」
私:「ただ、人事は採用だけじゃない。
他にも、教育や福利厚生や労務や
組織人事や人事制度構築
最近は、タレントマネジメントなどと
もてはやされている仕事もある。
これって、採用・人事考課(選抜)・教育・配属・組織人事と
ほとんど同義語ですよ。
ところが、こんな経営的な仕事に関われるのは
CHROとか取締役人事部長とか
ほんの一握りの人だけです。
そこまで登り詰めるには
10年・20年スパンで腹をくくって
仕事に全力を尽くす覚悟が必要です。
そんな当り前の事は、わかってますか?」
Aさん:「確かに、うちの会社の昇進・昇格や人事異動なども
どのように決まっているのか?(笑)」
私:「Aさん、更にね、そこまで登っても
CHROが全て決められるわけじゃないんですよ。
内閣改造と同じでね、人事はトップの専権事項です。
最後は、安倍総理が決めるんです。
会社であれば、最後はCEOが決めるんですよ。
それには、CHROも意見はできますが逆らえません。
そんな当り前の事をわかった上で
人事職に転職したいと言ってますか?」
Aさん:「いいえ、そこまでは。」
私:「人事職は同期の仲間とも自由に話せない事がありますよ。
社員の評価や給料、人事異動の情報など早く知りますから
一緒に飲みに行っても、話せない事がたくさんあるんです。
それでも、何とか会社を良くしたいと思って
勉強しながら考えながら
中長期に渡って裏方に徹する事ができる人が人事のプロです。
おまけに、人事職は少しミスをしたら評価が下がる。
営業職は敗者復活もあるし
成功したら会社のヒーローです。」
Aさん:「うーん、10年・20年ですか?
大変ですね。」
私:「そうです。
仕事は何の職種でも大変です。
だから価値があるんです。
今の仕事が嫌だから人事職に転職したい
というのは、あまりに軽薄な動機ですから
もっと深く考えてください。」
Aさん:「そうですね。
自分なりに考えてみます。」
私:「自分なりにではなく
世の中を見渡して考えてください。」
「しあわせはいつも
自分のこころがきめる」 みつを
合掌。