「年収の35%って高すぎませんか?」
先日、ご相談にお越しになった
現役人材コンサルタントのAさんから
質問された事です。
Aさん:「武谷さん
最後に一つ質問なんですが
よろしいでしょうか?」
私:「はい、何でしょうか?」
Aさん:「すべての求人に対して
年収の35%も課金するのは
高すぎませんか?
大手人材紹介会社が
勝手に決めた相場ですよね?」
私:「え、どういう意味ですか?」
Aさん:「難しい求人もあれば
簡単な求人もあるのに
一律35%って高すぎませんかね?」
私:「そういう意味ですね。
ところで、Aさんはどうように課金されているんですか?」
Aさん:「難しい求人であれば35%ですが
簡単な求人であれば25%でも受ける事があります。」
私:「なるほど。
私は、最後はクライアントが決める事だと思います。」
Aさん:「それは、どういう意味でしょうか?」
私:「35%も課金するのであれば
それなりの価値の仕事をしているのか?
という意味です。」
Aさん:「うーん、そうですよね。」
私:「クライアント企業もちゃんと考えて
求人依頼をされていますので
どのエージェントにも
どの求人にも
35%も払うとは限りません。
逆に、それ以上の価値があると評価すれば
40%でも50%でも支払いますよね?」
Aさん:「はい。
それはわかります。
実際、50%とか100%とか
支払う企業もありますね。」
私:「ただ、Aさんがおっしゃるように
35%というのは
世界的に見ても
非常に高いレートだと思います。
だから、外資系エージェントが
どんどん日本に入ってきているわけです。」
Aさん:「そうですよね。
やっぱり高いですよね?」
私:「しかし、そんな高い成功報酬を
払っていただける企業が
何千社も何万社もあるというのは
それだけ払っても惜しくないからですよね。
採用市場の需給バランスが
特定職種や特定領域においては
求人に比べて圧倒的に人材不足であるという
背景があると思います。」
Aさん:「今後も35%時代は続きますかね?」
私:「雇用問題に関する政策や
企業の求人需要次第ですが
特に、ホワイトカラーの外国人が
日本で百万人とか二百万人も増えたら
35%時代は終わるでしょう。
逆に、日本人の大半が英語を話せるようになったら
採用市場のボーダレス化が加速して
35%時代は終わるでしょう。
そういう時代が迫っていると思いませんか?」
Aさん:「確かに、そうなるかもしれませんね。」
私:「ただ、GAFAのような採用力がある企業でも
これはと思う重要なポジションの人材には
エージェントにいくらでも支払います。
コモディティ市場には一銭も払わないけど
エグゼクティブ、スペシャリストなど
キーパーソン採用には
いくらでも投資する。
そうしないと、企業としての
国際競争力を維持できない。
そんな二極化の世界が
ある意味残酷ですが
資本主義の行きつく先ではないでしょうか?」
Aさん:「結局、お金ですか?」
私:「個々人の能力の付加価値の差です。
結果として収入格差は拡大するでしょうが
お金ばかりだと考えると
嫌になりますよね?
そうではなく
付加価値の差だと考えないと
この仕事を長く続けられません。」
Aさん:「野菜や肉など
モノにも値段の違いがあるように
人にも値段の違いがある。
そういう事ですね?」
私:「ただ、それはあくまで労働市場における
その人材の付加価値です。
人間性や人格とは別です。
英語ができる人が
全て素晴らしい人格者とは限りませんし
テクノロジーに詳しい人も、そうとは限らない。
労働市場における価値と
人としての価値は別です。
少なくとも
人としての価値は同じだという前提で
人と接しなければ
自分自身がつまらない人間になりますよね。(笑)」
Aさん:「ありがとうございます。
その言葉を聞いて
私も人間として
ホッとしました。(笑)」
Aさん、大切な質問を投げかけていただき
ありがとうございます。
私たちも
エージェントである前に人間ですからね。
「にんげんだもの」 みつを
合掌。