「目的地が決まったら早く進もう?」
以前
誠実で行動力もあるAさんが
ご相談にお越しになりました。
私:「Aさんは、なぜ人材紹介をやりたいんですか?」
Aさん:「人材紹介コンサルタントの仕事を通じて
ベンチャー企業の採用支援をして
経営の役に立ちたいからです。」
私:「明快ですね。
だから、1社目もベンチャー企業を選んだわけですね。
それなのに、なぜ転職したんですか?」
Aさん:「ベンチャー支援という経営方針が
変わってしまったからです。」
私:「そこで、今の会社に転職したんですね?」
Aさん:「そうなんですが
自分の軽率な判断ミスで
希望した仕事ではありませんでした。」
私:「なるほど、わかりました。
それでは今回は
このX社をご紹介します。
この人材紹介会社のX社もベンチャーですし
お客様もベンチャーがほとんどですから
Aさんの希望がかなえられると思います。」
Aさん:「ありがとうございます。」
私:「一旦、今日は帰宅されて
じっくりご検討ください。」
数日後
Aさんから
「是非、X社に応募したいです」
との返事をいただきました。
その後
X社の面接は順調に進み
Aさんは
見事、内定されました。
ところが
そこからAさんに
「迷い」 が出始めました。
私:「誰にも迷いはあります。
遠慮はいりませんから
率直に何に迷っているのか
お教えください。」
Aさん:「まずは、私が辞めると
今の会社に
ご迷惑をおかけすると思います。
また、今の会社に
もっと貢献できるのではないか?
自分はまだ
やり切ってないのではないか?
そんな思いもあります。」
私:「それは誠実なAさんらしい
真面目な迷いですね。
お若いのに
立派なお考えだと思います。
ただ、目的地が変わったのですか?」
Aさん:「目的地?」
私:「『人材紹介コンサルタントの仕事を通じて
ベンチャー企業の採用支援をして
経営の役に立ちたい』
という目的地が変わったのですか?」
Aさん:「いいえ。
その目的地は全く変わっていません!!」
私:「うん?
目的地が変わってないのに
寄り道をしたいんですか?
今の会社に残って
目的地とは違う方向の仕事をして
本当に心の底から力が入りますか?」
Aさん:「確かにそうですね・・・。」
私:「今の会社も
Aさんに心の底から本気で
仕事をしてほしいわけです。
その期待に応えられますか?」
Aさん:「確かにそうですね・・・。」
私:「誠実で義理堅いAさんは立派です。
ただ、今の会社も
Aさんに義理で仕事をされても
本当にWin-Win の関係になりませんよね?」
Aさん:「確かにそうですね・・・。」
私:「Aさんの目的地が変わっていないのであれば
『急がば回れ』 ではなく
『急がば回るな』 です。
義理で仕事をする3年間と
目的地で本気で仕事をする3年間と
同じ3年でも重さが全く違うと思います。
でも、最後はAさんが考えて
結論を出してください。」
Aさん:「わかりました。
済みませんが
もう少しお時間をいただきます。」
「北極点に行きたい」
という目的地が明確なのに
わざわざ南極点を目指すのは
「貴重な時間がもったいない」
という事を
Aさんに考えていただきたかっただけです。
目的地がわからず
紆余曲折するのは
それはそれで仕方ないと思いますが
目的地が明確な時は
一直線に行った方がいいです。
「いちずに一本道
いちずに一ツ事」 みつを
合掌。