「新聞を読まないと面接で落とされるよ?」
私が内定した頃の
リクルートの正式な最終面接は
西日本の学生は
大阪支社で行われていました。
東日本は
もちろん、東京本社です。
しかし
私のような熊本大学の田舎者は
九州支社で
事実上の最終面接が実施されていました。
採用担当の先輩に何度も呼び出され
アルバイトをしたり
他大学の学生と
就職に関するディスカッションをしたりしました。
更に、先輩と酒を飲んで意気投合すれば
最後は、九州支社長との面接だったのです。
先輩:「武谷、また九州支社に遊びに来いよ。」
私:「バイト代と交通費を払ってくれるなら行きますよ。」
という事で
バイト代目当てに遊びに行ったら
先輩:「お前、のんきに日経新聞を
読んでる場合じゃないぞ。
今から九州支社長を呼んでくるから
ちょっと待ってろ。」
私:「九州支社長ですか?
どんな人ですか?」
先輩:「偉い人だよ。
これからもっと偉くなると思うけど。
ちゃんと挨拶しろよ。」
そう言われて
しばらく待っていたら
貫禄と言うか
風格のある人が
先輩と一緒に入ってきました。
支社長:「武谷君
九州で法人所得で1位の会社はどこだ?」
私:「それは、九州電力でしょう?」
支社長:「それじゃあ、2位はどこだ?」
私:「TOTOだと思います。」
支社長:「そうだな。
リクルートはまだ九州では知名度が低いが
もし、九州に本社があれば
3位がリクルートだ。」
私:「へー、そうなんですか?」
支社長:「もし、ご両親に
『リクルートなんて聞いたこともないし大丈夫か?』
と言われたら
九州にあったら3位の会社だと説明しなさい。」
私:「はー、わかりました。
うちの両親は
私が決めたら反対しないので大丈夫です。」
支社長:「そうか。
ところで、これまでの君の人生を話を聞かせてくれ。」
そこから、延々1h時間半
私の独演会でした。
支社長は
私のような学生のしょーもない話を
黙って聞いてくれました。
そして最後に
支社長:「君のような自分勝手な人間は
普通の会社は合わないよ。
うちのような
成長企業で暴れなさい。」
と言われて
力強く握手されました。
先輩:「武谷、お前はよくしゃべるな。
まー、ちょっと飲みに行こう。」
という感じで
突然の最終面接が終わりました。
「握手」=「シェイクハンド」=「内定」 だったのです。
ただ、ここで重要だったと思ったのは
最初の支社長からの質問です。
支社長:「武谷君
九州で法人所得で1位の会社はどこだ?」
私:「それは、九州電力でしょう?」
支社長:「それじゃあ、2位はどこだ?」
私:「TOTOだと思います。」
ここで、私がとんでもない回答をしていたら
「なんだ、ただのバカ学生だな」 で終わり
内定しなかったと思います。
ビジネスや経済に関する興味関心・情報感度を
たった一つの質問で見極められるわけです。
これが 「ボーダーライン」 です。
JACリクルートメントでの新卒採用では
神村さんが
「インフレとデフレに関して説明して?」
という質問をしていました。
この質問にある程度回答できるかどうかが
「ボーダーライン」 でした。
従って
紙でも電子版でも良いので
新聞ぐらいは読んでないと
話にならないという事ですね。
「一生勉強
一生青春」 みつを
合掌。