「質問に対する答が簡潔すぎてNG?」
お恥ずかしいですが
これは私の失敗事例です。
昨年、ご相談にお越しになった
元キャンディデートAさんのお話です。
Aさんは
とても明るく元気で
お話好きな方でした。
Aさんと面談した後
Aさんのご経験や志向と合致している思われる
2~3社のクライアントに絞って
ご紹介させていただきました。
その2~3社の中に
クライアントのX社さんが含まれていました。
そして、Aさんの第一志望は
そのX社さんでした。
私は、AさんがX社の面接に臨まれる前に
アドバイスをさせていただきました。
私:「Aさん、X社の好みのタイプって
どんな人材だと思いますか?」
Aさん:「うーん、どうですかね?
厳しそうな会社ですから
すぐに業績を上げられる
即戦力が欲しいのではないでしょうか?」
私:「そうですね。
即戦力であれば文句はないでしょうが
Aさんは、人材紹介コンサルタント未経験者ですから
少なくとも半年や1年は
じっくり上司や先輩が育ててくれますよ。
早く結果を出したいと思う気持ちは大切ですが
そんなに焦らなくてもいいですよ。」
Aさん:「それじゃー、私はどんな感じで面接に臨めばいいでしょうか?」
私:「未経験者の場合は
どこの会社でもほとんど同じなんですが
大きく三つの要件を求めまれます。
①基礎能力(学習能力やコミュニケーション能力)
②社風と性格との適合性
③過去の経験の再現性
この三つです。」
Aさん:「①と②はわかりますが
③の 『再現性』 というのは
具体的にどういう事でしょうか?」
私:「簡単に言うと
前の会社や仕事での経験が
人材紹介コンサルタントの仕事でも活かせそうか?
という事です。」
Aさん:「あー、なるほど。
再現フィルムの 『再現性』 ですか?」
私:「その通りです。」
Aさん:「そんな質問であれば
私は現職でも新規開拓法人営業の経験豊富ですし
ちゃんと目標達成もしていますから
簡単に答えられますよ。」
私:「そうでしょうね。
私もAさんであれば
内定される可能性が高いと思います。
ただ、特にX社の面接では
気をつけていただきたい事があるんです。」
Aさん:「え?
何か特別に気をつけるべき事があるんですか?」
私:「はい。
とにかく、社長さんの質問に対しては
結論を簡潔に答えてください。
X社の面接不合格理由の中で
とにかく一番多いのは
『話が長い』 という事なんですよ。」
Aさん:「ははー、結論を簡潔にですね?
調子に乗ってベラベラしゃべったら
不合格になるわけですね。
わかりました。
社長さんの質問には
極力、簡潔に答えます!!」
私:「はい、その通りです。
面接では
聞かれてもいない事を
ベラベラしゃべらない事が大切です。」
Aさん:「いやー、ありがとうございます。
もし、武谷さんのアドバイスを聞かないで
面接に臨んだら
ベラベラしゃべってしまって
不合格になる所でした。」
私:「ありがとうございます。
それでは、是非とも内定をGETしましょう!!」
という事で
AさんはX社の面接に臨まれたのですが
結果は残念ながら
予想外の不合格でした。
私はすぐに
X社の社長さんに電話しました。
私:「社長、どうしてAさんが不合格なんですか?」
社長:「えー?
だって、面接での会話が
あまりにそっけなかったですよ。」
私:「えー!!
そっけない?
普段は明るく元気で
そんな人じゃないですよ。」
社長:「だって、今の会社で業績が良い理由は何ですか?
と質問したら
『他の営業マンの2倍働いているからです』
と言うので
それだけですか? と聞いても
『はい、それだけです!!』 と
あまりにそっけなく面白味もない回答で
これ以上質問しても仕方ないなと思いましたよ。」
私:「わー、やらかしてしまいました!!」
社長:「何をやらかしたんですか?」
私:「社長は話が長い人は嫌いだから
とにかく質問には簡潔に答えてください。
ベラベラしゃべらないでくださいと
何度も念押ししたんですよ。」
社長:「それにしても
社長の私が聞いているのに
あんなに自分の事を説明しない人は珍しいですよ。
だから、不合格にしました。」
私:「社長!!
それは私の責任ですから
もう一度、Aさんと会っていただけませんか?」
社長:「いやー、一度不合格にした人ですし
武谷さんのアドバイスをそのまま丸のみしてしまって
その場その場に応じた対応ができないのでは
当社に入社しても
それほどの戦力にはならないでしょう?
済みませんが
今回は、ご縁が無かったという事で
宜しくお願い致します。」
私は、不合格になったAさんに申し訳なく
理由を詳しく話して
謝罪しました。
非常に悔やまれるケースでした。
素直で単刀直入なAさんに対しては
もっと、かみ砕いた丁寧なアドバイスすべきでした。
その後、X社さんでの失敗もふまえて
第二志望だったY社さんの面接に臨んでいただき
Aさんは 「Y社で良かったです」 と幸せそうに働かれています。
私の不行き届きが原因ですが
良かったのか?
悪かったのか?
「柔道の基本は受身
受身とはころぶ練習
負ける練習
人の前で
恥をさらす練習」 みつを
合掌。