「30歳で年収600万円以上の会社。条件は以上。」
以前、とてもユニークな若者Aさんが
ご相談にお越しになりました。
Aさん:「とにかく、30歳で年収600万円以上の会社を紹介してください!!
希望条件はそれだけです。」
まるで
「条件は今よりいい会社。
以上。」
という、パーソルキャリアさんのCMのようでした。
Aさんは理系大卒で
自然科学関連事業を営む企業に就職されました。
Aさん:「いかんせん給料が安いので
このままでは彼女と結婚できません!!」
私:「それはわかりますが
30歳で600万円以上稼げる可能性があれば
どんな業界でも、どんな職種でもいいんですか?」
Aさん:「はい、業界にこだわりはありません。
ただ、600万円稼ぐとなると
職種は営業職になる可能性が高いと覚悟しています。」
私:「それじゃあ、Aさんが人材紹介業に目を付けたのは
業績次第で600万円以上稼げるからですか?」
Aさん:「はい、その通りです。」
私:「なるほど。
他には、どんな業界の会社を受けていますか?」
Aさん:「不動産会社が多いです。」
私:「なるほど。」
Aさん:「はい、仕事は厳しいでしょうが
やったらやった分稼げると聞きましたので
何社か進んでいます。」
私:「Aさん、数多くの人材紹介会社の中には
『とにかく30歳で600万円以上稼ぎたい』
というシンプルな応募動機をおっしゃっても
採用してくれる会社もあるかもしれません。」
Aさん:「そうですか?
ありがとうございます。」
私:「ただAさん、私がお取引させていただいている
優良人材紹介会社の中には
そんな応募動機だけで採用してくれる会社は
1社もありません。」
Aさん:「ダメですか?
なぜですか?」
私:「年収600万円という以外に
どうしても人材紹介コンサルタントをやりたいという
理由がないじゃないですか?」
Aさん:「うーん、そう言われたらそうですが
どうせ入社して働いてみないと
会社や仕事なんて
わからないでしょう?」
私:「Aさん、それは確かに真理だと思います。
最終的に会社というモノは
実際に入社して働いてみないとわかりませんよね。」
Aさん:「だったら、入社前にそんなに厳しく選別する必要がないじゃないですか?」
私:「いいえ、あります。
Aさんに対して、不安に思う理由は大きく三つです。
①業績が上がらず、年収600万円稼げなかった時に、Aさんはどうするのか?
②お客様である採用企業に対して、Aさんはきちんとしたサービスができるのか?
③お客様である転職希望者に対して、Aさんはきちんとしたサービスができるのか?
という事です。」
Aさん:「ちゃんとしなければいけないのであればやりますよ。」
私:「そうでしょう。
真面目なAさんであれば、ちゃんとサービスするでしょうね。
しかし、MUSTよりWANTが大切です。
やらなきゃいけないからやりますというMUSTではなく
やりたいからやりますというWANTの方が大切です。」
Aさん:「そうなのかな?」
私:「WANTの部分が大きくないと
仕事は長続きしません。
MUSTだけでやっていると
何か難題にぶつかった時に
すぐに辞めて転職を重ねる人が多いからです。」
Aさん:「へー、そういうものですか?
仕事なんて何でも同じだと思ってましたが
実際には違うという事ですね?」
私:「それは、Aさんの考え方次第です。
何でも同じと考えるAさんのような人もいれば
同じじゃないと考えている人もいます。」
Aさん:「そうですよね?」
私:「うん、確かにそうなんですが
私は個人的にAさんが
年収600万円だけを基準にして
転職先を決めるのは
もったいないと考えているだけです。」
結局、どこまで行っても平行線のような感じでしたが
「自分はどんな仕事をやりたいのか?」 という事を深く考えずに
年収600万円だけを条件に転職先を決めるのは
もったいないと思いました。
それだけじゃ、寂しいよな。
「しあわせはいつも
自分のこころがきめる」 みつを
合掌。