「採用するする詐欺?」
「おーい、ちょっと待ってくれよ!!」
と言いたくなる事例です。
私:「人事部長、Aさんの結果はいかがでしょうか?」
部長:「もちろん、内定ですよ。
さすがに優秀な人物ですね。
社長も絶賛してましたよ。」
私:「ありがとうございます!!
ところで、問題の年収ですが?」
部長:「もちろん、現在の年収は保証しますよ。
ケチって辞退されては困りますからね。」
私:「いやー、良かった。
ご配慮いただき、ありがとうございます。
それでは、次回はオファー面談ですね?」
部長:「そうですね。
早速、オファー面談を実施しますから
Aさんのご都合をお教えください。」
その後、無事にオファー面談も実施され
内定されたAさんも
勤務中の会社に辞意を表明され
入社日も決まりました。
しかし
「いやー、良かった良かった」
などと思って胡坐(あぐら)をかいていたら
部長:「もしもし、あのね他でもないAさんの件で
ちょっと困った事になったんですよ。」
私:「え、それはどういう事ですか?」
部長:「Aさんには言わないでほしいんだけど
実は、会長が難色を示しているんですよ。」
私:「えー、会長さんは事実上引退されたのでは?」
部長:「それがね、最近また元気になって
色々と口を出し始めてね。
『古参の経理部長を差し置いて
いきなり外からCFOを採用するとは何事だ!!』
と言い出しましてね。」
私:「ちょっと待ってください。
既に、Aさんは現職を辞める事になっているんですよ!!」
部長:「いやー、会長は創業者で
未だに最大株主ですからね。
簡単にスルーできないんですよ。
申し訳ないですね。」
私:「申し訳ないで済む問題じゃないですよ。
社長さんや他の役員の方々は
どのようにおっしゃっているのですか?」
部長:「いやー、会長に逆らえる人はいないよ。」
私:「今回の採用のお話は
事前に会長の承認は得てなかったのでしょうか?」
部長:「そうなんですよ。
ずっと社長主導で進んで来ましたし
まさか最後に会長が口を出すとは
誰も考えてなかったんですよ。」
私:「御社内のご事情は、承知致しました。
ただ 『誰も考えてなかったんですよ』 で
済まされる問題ではありません。
まさか、内定取り消しにはならないですよね?」
部長:「いや、非常に申し訳ないが
そこを何とかお願いできないかと思って
お電話した次第です。」
私:「そうなんですね。
御社の中では結論が動かせないのですね?」
部長:「非常に難しいです。
お察しください。」
私:「わかりました。
この事を、私がAさんに話してしまうと
もっと大変な事になります。
おわかりですね?」
部長:「申し訳ない。」
私:「大変な事になる前に
御社内で再度、最終的な意思決定をお願いします。
私も役員会に出席させてください。」
部長:「うーん、それはできません。
わかりました。
社長と話した上で
再度、会長に話していただくようにします。」
私:「わかりました。
Aさんやご家族の人生がかかっているお話ですから
責任ある企業として慎重にご検討ください。
何卒宜しくお願い致します。」
このケースは
結果として、Aさんをご採用いただき
何とか事を収める事ができましたが
非常に危い事例でした。
今も私の教訓になっております。
このように、内定したからと言って
安心できないケースがあるので
「どこの誰が最終決裁者なのか?」
を事前に確認し
気をつけないといけません。
(代表的な危ないケース)
1 最後に創業者が口を出して来る。
2 最後に親会社が口を出して来る。
3 最後に外国の本社が口を出して来る。
「米国本社のアプルーバルが取れない」 とか
「四半期決算が悪そうなので
しばらくの間、全世界で採用フリーズです」 とか
結構よくある話ですよね。
くれぐれも気をつけましょう。
「その時
どう動く」 みつを
合掌。