「キャッシュフローを改善しなさい」
リクルートからJACリクルートメントに転職をして
一番インパクトがあった事かもしれません。
大企業のリクルートは
クライアントとの人材紹介契約時に
「支払いサイト」 など、ほとんど気にしません。
クライアントも日本企業が多いので
「御社も末締めの翌月末払いですよね?
承知致しました。
ありがとうございます。」
という、ゆるーい感じで、支払いサイトに関する交渉はほとんどしません。
ところが、JACリクルートメントに転職して
グループ創業者の田崎忠良最高顧問に
唯一指摘され叱られた事は
その 「支払いサイト」 の件でした。
田崎さん:「君たち、当社の契約では
FEEの支払いは入社後2週間以内だよね?
それが2倍の28日もかかってるって
ちゃんと厳しくマネジメントしてるの?」
私:「そんな2週間以内なんて言われても
最大手のリクルートでは
当月末締めの翌月末払いがほとんどですから
事実上、入社後60日後の支払いですよ。」
田崎さん:「武谷君がいた大会社はそうかもしれないけどね
うちのような成長企業では
資金繰りが最大の問題なんだよ。
『黒字倒産』 って知ってるよね?
会社は黒字でも、資金繰りが回らないと倒産するんだよ。」
私:「はい、確かにそうですね。
ただ、2週間以内に支払ってくださいという交渉は厳しいですね。」
田崎さん:「武谷君、君は知らないだろうけど
それは日本特有の非常に旧い商慣習だよ。
当社は、外資系の世界的エクセレントカンパニーと何社も取引しているけど
2週間以内の支払いサイトの件で、もめた事はほとんどないんだよ。
優れた企業ほど、お金払いがいいんだよ。」
私:「そうなんですか?」
田崎さん:「それじゃ、支払いの早い会社の社名リストをよく見てよ。」
私:「確かに、世界的エクセレントカンパニーばかりですね。
それから圧倒的に外資系企業が多いですね。」
田崎さん:「そうでしょう。
そんな事だから、フォーチュンのTOP100社に
日本企業はほとんど入ってないんだよ。
あのね例えば
ある製造メーカーが
毎月決まった材料メーカーから
材料を仕入れるというように
決まった期日で決まった量を決まった会社から仕入れる。
そのような取引慣行が多い日本企業だから
末締めの翌月末払い、なんて事になるわけです。」
私:「なるほど。」
田崎さん:「ところが、当社の人材紹介業というビジネスは全く違うでしょう?
毎月同じエージェントから、毎月同じ人数が決まる?
そんな事ないでしょう?」
私:「おっしゃる通りです。
毎月全然バラバラです。」
田崎さん:「そうなんだよ。
決まった量とか金額の取引じゃないんだから
ちゃんとそれを話して交渉して
クライアントでイレギュラー処理をしていただき
2週間以内にお支払いいただくように交渉しなさい。」
私:「なるほど。」
田崎さん:「メンバーには難しい交渉かもしれないから
武谷君、君が直接行って交渉しなさい。」
私:「承知致しました。」
田崎さん:「企業の経営にとって
資金繰りは最も重要な問題なんです。
わかってくれたよね?」
私:「はい、承知致しました。」
今になって、自分が零細企業を経営してみると
田崎さんのご指摘が身に沁みますね。
貴重な事をお教えいただき
誠にありがとうございました。
「おかげさん」 みつを
合掌。