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社長ブログ 人材コンサルタント25年史

「面接でボコボコされました!えー、ボコボコなんかにしてないよ!」

「面接でボコボコされました!えー、ボコボコなんかにしてないよ!」

以前、若くて爽やかなイケメン、Aさんがご相談にお越しになりました。

Aさん:「武谷(たけや)さん、僕は多分今年の司法試験に合格していると思います。

     最終発表は秋ですが、今年は自信があります。」

私:「それは凄いですね。

   働きながら勉強していたんですね?」

Aさん:「そうですね。

     法科大学院を卒業して、しばらく営業のアルバイトもしていたんですが

     第二新卒扱いで中途入社したんです。」

私:「就職先でも営業をやっていたんですね。

   業績はどうでしたか?」

Aさん:「目標は達成していました。

     それから、色々な賞も受賞しました。」

私:「良い会社だし、順調だったのに、どうして辞めたんですか?」

Aさん:「今年は絶対に司法試験に合格したいと思いまして

     ちょっと仕事をしながらでは無理だと思ったんです。

     会社や上司には申し訳なかったのですが

     ワガママを言って強引に辞めさせてもらいました。」

私:「確かにワガママだね。

   両立できない事なんて、前からわかっていたんじゃないですか?」

Aさん:「確かに、結果としては迷惑をかけて悪かったと思っています。

     ただ、僕には、自分の弁護士事務所を作るという夢があるんです。」

私:「ほー、それで?」

Aさん:「競争の厳しい東京で自分の事務所を作って生き延びるのは大変です。

     だから、ビジネスセンスや営業力がある弁護士にならないと生き残れないんです。」

私:「それでどうしたんですか?」

Aさん:「以前から、人材紹介コンサルタントになりたくて

     この業界で営業力や人脈を形成して

     10年以内に弁護士事務所を作りたいんです。」

私:「うーん、なんか自分中心な気もするけど

   お世話になる以上は死ぬほど働いて業績を上げて

   少なくとも5年以上は入社した人材紹介会社に貢献する覚悟はある?」

Aさん:「もちろんです。

     今度は短期間では辞めません。」

というような話になりまして

数社ご紹介したのですが

その中の1社に非常に興味があるとの事で

ある著名な人材紹介会社のX社様に応募させていただきました。

X社様には、事前に上記のようなキャリアプランを持った

ユニークでワケアリのキャンディデートであると

お知らせした上でご面接いただきました。

しかし、結果は 「ボコボコ?」 でした。

Aさん:「先ほど、面接が終わりました。

     申し訳ございません。

     ボコボコにされました。

     武谷(たけや)さんの顔に泥を塗る事になってしまいました!!」

私:「いいですよ。

   元々私の顔なんか泥だらけです。

   どんな面接でしたか?」

Aさん:「マネージャーさんから

     『君のような、この仕事にフルコミットできない人は採用できない』

     と言われました。

     私もこんな性格なので、何とか反撃を試みたんですが

     明らかに、マネージャーさんのおっしゃる事の方が正しいと思いました。」

私:「そうですか、じゃあ、これからどうしますか?」(笑)

Aさん:「おかげさまで目が覚めました。 

     転職活動は中止して、すぐに法律の道に進みます。

     マネージャーさんからも、そのようにアドバイスされましたし

     その通りだと思います。

     ボコボコ面接によって、迷いが無くなり

     自分の将来の方向が決まって

     大変有意義な面接でした。

     ただ、X社様と武谷(たけや)さんには、大変ご迷惑をおかけして

     申し訳ございませんでした。」

私:「そうですか、わかりました。

   スッキリして良かったですね。

   立派な弁護士になってください。」

その後、X社様のマネージャーさんに連絡をしたら

すぐにお電話でフィードバックをいただきました。

私:「貴重なお時間を割いていただいたのに

   大変申し訳ございませんでした。」

マネージャー:「そんな事はいいんです。

         それよりも、ボコボコなんかにしていませんよ。(笑)

         その誤解は解いておかないと、今後の事もありますからね。」

私:「そうですか?

   それでは、若いAさんにとってはボコボコだと感じただけですね。

   でも、正論を語っていただき、大変感謝されていますし

   今回ご面接いただいたおかけで

   今後の人生の方針が明確になったと言ってます。

   ありがとうございました。」

マネージャー:「私が面接で言いたかったのは、そんなボコボコにする事ではなく

         人として働く上で大切にすべき 『一貫性』 というものを

         Aさんに伝えたかっただけです。」

私:「人として働く上で大切にすべき 『一貫性』 = 『フルコミット』 ですか?」

マネージャー:「そうです。

         何か一つに決めて、それに打ち込み、何があっても、結果が出るまでやり切る。

         やり続けると決めて始めなければ

         ちょっとした事でどうせまた他の道に逃げてしまう。

         そんな事を繰り返してたら、自分のためにも、世の中のためにもならないと。

         そんなわかりやすい話をしたつもりですが

         最後まで、論理的にもメンタル的にも 『一貫性』 を感じられませんでした。

         だから、全然ボコボコじゃないんですよ。」

私:「それは、ごもっともですね。

   コモンセンスと言うか、社会人として当り前の話ですね。

   ただ、Aさんにも、その真意はしっかり伝わっており

   感謝されていますので、何卒ご容赦ください。

   この度も、大変ありがとうございました。」

年令も社会人歴も違うので、当り前かもしれませんが

同じ面接でも 「ボコボコ」 と表現するキャンディデートと

「ボコボコなんかじゃない」 とおっしゃる面接官がいらっしゃいます。

でも、よくよく双方のお話を伺うと

決して圧迫面接でもなく

むしろ、キャンディデートの今後の生き方・働き方に対して

貴重な示唆を与えてくださったわけですね。

Aさんも 「ボコボコにされた」 とは言っていても

決して不愉快だったわけではなく

目から鱗が落ちて、今後の方針が定まったわけです。

少なくともAさんにとっては、非常に貴重な面接だったわけです。

その辺のニュアンスを

ただ 「ボコボコにされた」 というような表層的な言葉に左右されず

エージェントとして冷静に双方の深層にある気持ちを翻訳してフィードバックする事。

その 「翻訳機能」 の重要性を

あらためて、お客様に教えられました。

ただ、片方が言った事を

もう一方の人にオウムのように伝言するだけではダメですね。

深層を汲み取って、丁寧にお伝えしないといけませんね。

まだまだですね。

「いまから

 ここから」                                     みつを

合掌。

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プロフィール


武谷 広人
人材ビジネス経験の蓄積と、自らのトップマネジメント経験を強みとする。経営幹部から専門職まで約500件の案件を成功に導く。

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