「マネージャーが先頭に立って斬り込め!!」
先日、人材紹介会社のマネージャーAさんから、下記のようなお話を伺い
その後、大変な事になりました。
Aさん:「最近の若者を指導していると
難しいなー、と感じる点があるんです。」
私:「へー、どんな点ですか?」
Aさん:「人は誰でも自分で設定したリミッターがあるんですよね。
それを超えようとするかどうかで
人の成長度が大きく変わると思うんです。」
私:「あー、何となくわかります。
成長意欲とか自己変革意欲みたいなものでしょうかね?」
Aさん:「簡単に言えば、そういう事かもしれません。
例えば、私はメンバーに残業や休日出勤を強いる事はありません。
KPIの数値だけで、理不尽に詰めたりもしません。
でも、求めているハードルは決して低くないんです。
それをわかってくれて
今の自分に足りない部分を何とか超えようとする人と
簡単に折れる人がいます。
ただ、折れる人も頑張ってないわけじゃないんです。
そういう人は多分、自分で設定したリミッターを
超えようとしないんですね。」
私:「あー、なるほど。
これまでの人生で
そこまで高いハードルを超えなければならない経験が
なかったからかもしれませんね。」
Aさん:「それほど苦労せずに育った人には
その傾向が見受けられます。
できる範囲でホドホドに頑張る、という感じでしょうか?
もちろん全否定するつもりはないですし
そういう人も含めてマネジメントしていくのが
私の役割だと思っていますが。」
私:「そうですね。
精神的にも肉体的にも強い人ばかりではないですからね。
強い人しかダメだと切り捨ててしまったら
組織は成り立たないし
極端に言えば、マネージャーなんて必要ないですからね。」
Aさん:「おっしゃる通りです。
ただ、正直なところ
若い内に自分の限界を超える経験はしてほしい
というのが私の気持ちです。
それを経験するかしないかで
将来が大きく違ってくる気がするんです。
だから、部下の人たちのモチベーションを
そこまで持っていくにはどうしたらいいかを
日々試行錯誤しています。」
私:「そうですか?
Aさんね、今からはっきり言うけどいいですか?
貴方自身が自分の限界を超えようとする姿を
今、メンバーに見せてますか?」
Aさん:「え!! どういう意味ですか?
そんな事を言われても
自分ではギリギリ一杯頑張ってますよ。」
私:「わかりますが、それこそホドホドじゃないんですか?
若い人はダメだとか、私はもう中年だとか
そういう話じゃないんですよ。
私はね、そんな世代論は大嫌いです。
戦場で、マネージャーである貴方自身が
真っ先に敵陣に突っ込んでるか?って聞いてるんです。」
貴方だけじゃない。
他のマネージャーや部長、そして社長が先頭に立って
真っ先に敵陣に突っ込んでるか?
敵の大将の首を自分で獲りに行ってるか?
って聞いてるんですよ!!」
Aさん:「そこまで言われると全然できていません。」
私:「だったら、若いメンバーの弱さを愚痴るのではなく
自分自身の弱さを反省して
本当に戦場で死んでみてください。
その姿を見たら、尻込みして辞めるメンバーもいるだろうけど
目から鱗が落ちて、本気を出して戦うメンバーも出て来るよ。
昔の武勇伝や営業戦略やKPIばかり語る管理職が多いけど
『今の自分の背中を見てついてこい!!』
とメンバー伝えられない上司こそが不必要な存在なんです。
人件費ばかり高くて迷惑です。」
最後は、無茶苦茶な説教になってしまいましたが
後日、Aさんには謝罪しました。
Aさん:「私こそ、数十年ぶりに目から鱗でした。
私自身が、メンバーから見て
『Aさんのようになりたい!!』
と思われるように頑張ります。」
との事でした。
一対一の真剣勝負で
斬り合いもできない上司に説得力があるわけがないんです。
幸運にも私は、栢野克己さんと言う先輩に出会い
1日営業同行していただいただけで
それこそ 「目から鱗」 で
自分の甘さと無能さを思い知らされましたし
その後、無駄な文句を言わず、仕事をするようになりました。
その夜、栢野さんに営業同行していただいた日の一部始終を
興奮しながら前妻に話しましたら
「男の仕事だね。凄い人に出会えて良かったね。」
と言ってくれた事を、昨日の事のように思い出します。
あの日が無かったら
今、私はこの仕事をしていないと思います。
他にも 「一生、この人は越えられないな」
と思う複数の上司に恵まれ
まさに人生が変わりました。
できれば、人の上に立つ皆さんには
「越えられないかもしれないけど
いつか、この人のようになりたい!!」
と思われるようなリーダーやマネージャーに
自分自身がなっていただきたいと思います。
私は、他人を指導するような器ではない事がわかったので
今でも一人でプレイヤーをやっているだけです。
「おかげさん」 みつを
合掌。