「未経験者をマネージャーにするアホ会社」
人材紹介コンサルタントのAさんと、彼の後輩B君の話になりました。
Aさん:「学生時代の後輩B君が
数か月前に異業界から転職して
人材紹介の仕事を始めたんです。
今は●●●社にいて頑張っていますが
なかなか大変そうです。」
私:「大変そうですか?
最初は苦労する人も多いですからね。
未経験だから仕方ないですよ。」
Aさん:「はい、始めたばかりなので大変なのは当然です。
ただ、B君の上司の人が
人材紹介業に関する理解が浅いようで
聞いていると、かわいそうになります。」
私:「へー、そうなんですか。
上司の人のどんな所が浅いと感じるんですか?」
Aさん:「例えば、ターゲットにする業界や人材とかを聞くと
センスないなー、感じます。
クライアントとの交渉も
もっと違うやり方があるんじゃないの?
感じる事が多いです。
他社の事なのであまり言えませんが、
聞いてみると、その上司は人材紹介コンサルタント経験が
ほとんどない人のようで
そりゃわからないよなー、と思いました。
この仕事って細かいポイントを
ちゃんと指導できる経験者じゃないと
部下の人は大変だなー、とつくづく思いました。」
私:「なるほど、よくある話ですね。
なんでそんな素人をマネージャーにしているのかな?
と思う人材紹介会社が山ほどありますよ。
そういう会社は、経営者がこの仕事をなめているので
私は絶対に取引しません。
この仕事はマニュアル通りに既製品を売るわけではありません。
一社一社、お一人お一人、全部が唯一無二の特注品です。
その結果、一件一件の案件ごとに細かく対応を変えないといけません。
その辺の具体的な事情がわかってない人に
マネジメントを任せるのは難しいですね。」
Aさん:「そうなんですよね。
基本的なマーケティングや営業戦略を学習した上でも
最後は実体験に基づく知見が決め手になる部分があるじゃないですか?
どんな仕事でもある事だと思いますが
人材紹介の仕事では特に実務経験が必要な気がします。
そこで今、B君にはうちの会社に来るように誘っています。
上司がわかってないのに、独力でできるようになるのは難しいですからね。
折角、この業界の仲間になったのに気の毒です。」
Aさんが話されたような話は
耳にタコができるぐらい頻繁にお伺いします。
「マネジメント」 というものを
「営業管理職経験があれば誰でもできるだろう?」 と
簡単に考えて
異業界でのマネジメント経験者を
いきなり人材紹介会社のマネージャーにしてもうまく行くわけがないです。
それは、人材派遣業や業務請負業など、他の人材ビジネスであっても同様です。
現場に関わらない人であればいいですが
人材コンサルタントを直接指導するマネージャーは
実務経験に基づいて勘所がわかる人であって
人の感情の機微がわかる人でなければ難しいですよね。
簡単に言うと
「冗談を言っても、いつもスベル人」
は人材コンサルタントに向いていません。
「何を言えばウケルのか?」 をわからない人は
「他人の気持ちがわからない人」 ですからね。
特に、B君のような未経験から始める人を育てる事は
人材紹介業界全体の責任です。
従って、 「マネージャーを誰にするか?」 という事は極めて重要です。
しかし、「経験者だったら誰でもいい」 という話ではありません。
いくら豊富な実務経験があっても
自分の数字や年収しか考えられない利己主義な人には
メンバー育成はできません。
結果として、真のマネージャーに値する人は希少なのです。
これは、人材紹介業に限った話ではないでしょう。
優秀なマネージャーと人材育成力こそが
その企業のコアコンピタンスです。
「師匠とは
うそかけひきの
一切まかり通らぬ人
そして
一生頭のあがらぬ人
弟子は一人もいないけれど
我執強き私には
一生師匠が必要です」 みつを
合掌。