「イジメの苦労を経験した先に?」
以前、キャンディデートだったAさんのお話です。
Aさん:「父親が転勤族だったので
幼少時代は転居・転校を繰り返していました。
それをきっかけに転校先の学校でイジメにあってしまい
クラスメイトと率直に話せなくなりました。
これは黙っていた方がいいんだなと思いまして
自己開示できなくなった苦しい時代がありました。」
私:「それは苦しかったでしょう。
その苦しみから解放されるのに
どれぐらいの時間を要しましたか?」
Aさん:「うーん、普通に他人と会話できるようになったのは
つい4~5年前でしょうか?」
私:「え!! それでは社会人になってからですね?」
Aさん:「はい。
社会人になってからも
最初の数年は苦しみました。」
私:「それをどのように克服したんですか?」
Aさん:「うーん、なんか他人と仲良くなれる人ってどんな人かな?
と思い出してみた時に
『あー、自分の事を先に相手にわかってもらってる人だ!!』
と気づいたんです。
それと同時に
『自分は心を閉ざしたままで、全く逆の人間だな』
と思いました。」
私:「いやー、それは自己防衛のために止む無くしてきた事であって
Aさんのせいではないじゃないですか?」
Aさん:「それはそうかもしれませんが
ずっとこのまま同じ場所にいても
『自分は一生変われないな』
と思ったんです。」
私:「それが理由で、あえて最も苦手な営業職を選んだ?」
Aさん:「はい、そうです。」
私:「苦しかったでしょうね。」
Aさん:「はい、最初の数年間はそうでした。」
私:「それなのに、よく転職もせずに
これまで続けられましたね?」
Aさん:「上司や年輩社員の方々など
色々な人にかわいがっていただいて
少しずつ自分の事も話せるようになりました。」
私:「それでも大変だったでしょうし
勇気が必要だったでしょう?」
Aさん:「はい。
でも、ここで逃げてしまったら終わりだと思って
何とか続けてきました。」
私:「立派ですね。
よく踏みとどまりましたね。
そして、営業職としても、ちゃんと結果を出しましたね。」
Aさん:「いえ、まだまだこれからです。」
私:「うん、これからと言うのに、なぜ人材紹介業志望なんですか?」
Aさん:「はい、確かにこれからなのですが
残念ながら構造的な斜陽産業の会社です。
価格競争や既得権で、発注先が決まってしまう業界です。
早朝から終電まで働いても、同年代より100万円以上低い年収です。
そろそろ結婚も考える年齢になりました。」
私:「志望理由は、それだけですか?」
Aさん:「いえ、それだけではありません。
私と同じような苦しい企業で働いたり
私と同じような苦しい体験をした人が
世の中に大勢いるのではないかと思います。」
私:「そんな社会に貢献したいと?」
Aさん:「私のような人間にできる事はないかもしれませんが
少しは気持ちがわかるかなと思っています。」
私:「私には、貴方の深い苦しみはわかりません。
ただ、貴方を必要としている人たちは
大勢いらっしゃると思います。
微力ですが、 全力で応援させていただきます。」
「なみだで洗われたまなこは
きよらかでふかい」 みつを
合掌。