「『他者との比較検討の結果です』そんな不合格理由でいいのか？」

現役人材紹介コンサルタントのＡさんと、下記のようなお話をしました。

Ａさん：「最近、他の人材紹介会社で数社応募された後
　　　　　ご相談に来られた方のサポートをしているのですが
　　　　　ちょっと問題だなー、と感じた事がありまして。」

私：「どんなお話ですか？」

Ａさん：「私がご紹介したいと思っていた案件は
　　　　　既に応募されて不合格になっていたんです。
　　　　　それも一次面接で不合格になっているんです。
　　　　　ただ、経歴上は求人要件に適合されています。
　　　　　そこで、面接不合格になった理由をお尋ねしたら
　　　　　そのエージェントからは
　　　　　『他者との比較検討の結果です！！』
　　　　　とだけ言われたそうです。
　　　　　でも、その求人枠はまだまだ残ってますし
　　　　　多人数採用ですから
　　　　　実際には他者との比較ではないだろうと思うんです・・・。
　　　　　『他者との比較検討の結果です！！』　というのは
　　　　　大変都合のいい断り文句だなー、と思いました。」

私：「なるほど、ありそうな話ですね。
　　　いきなり、『他者との比較検討の結果です！！』　と告げられたら
　　　何も言えませんよね？
　　　多分、本当の不合格理由を
　　　そのエージェントがヒアリングしてないんでしょう？」

Ａさん：「その可能性が高いですね。
　　　　　特に、クライアントが大企業だとシステムで
　　　　　求人や応募の管理をしていますから
　　　　　簡単な理由だけ添えて
　　　　　システムから不合格通知を送ってきたりします。
　　　　　従って、ちゃんと採用責任者に電話して確認しないと
　　　　　本当の不合格理由がわからない事が多いです。
　　　　　企業側にも問題はあるのですが
　　　　　我々エージェントの仕事のやり方も大いに問題です。
　　　　　『不合格だったら労力をかける必要はない』
　　　　　いや、『忙しくて、労力をかけたくてもかけられない』
　　　　　と思っているコンサルタントが多いような気がします。
　　　　　その意味では、コンサルタント個人だけでなく会社の課題でもあります。
　　　　　でも、キャンディデートが今後の転職活動を続けるに当って
　　　　　『本当の不合格理由が何なのか？』　を知る事は
　　　　　非常に大切ですよね？」

私：「そうですね。とても大切ですね。
　　　今後も同じような姿勢で面接に臨んでも
　　　また不合格になる可能性が大きいです。
　　　エージェントとしては
　　　『他者との比較で、具体的に何が劣っていたのでしょうか？』
　　　と聞かないといけないですね。」

Ａさん：「そうなんです。
　　　　　その方は複数社で
　　　　　同じ理由（他者との比較）で不合格になっているんです。
　　　　　でも、初めての転職活動なので
　　　　　『他者との比較検討の結果です！！』
　　　　　と言われるのが普通だと思っていて
　　　　　気の毒になりました。
　　　　　不合格になったキャンディデートに対しても
　　　　　次の好結果につながるアドバイスをできるか？
　　　　　それはとても大切な事だと
　　　　　あらためて気づかされました。」

最近のように求人が豊富にあると

複数社受けても全部不合格になって

何が何だかわからなくなっているキャンディデートもいらっしゃいます。

不合格理由にこそ

キャンディデートが今後の転職活動をする上で

大事な改善要素が詰まっています。

確かに、『他者との比較検討の結果』　という事情も

実際にあると思いますよ。

ただ、事実であるならば、どのような人と比べて

どのような点で劣っていたのか？

お伺いして、キャンディデートにお伝えする必要がありますよね。

「どうせ不合格だから、何か理由をつけて連絡すればいい」

というものではありません。

実際に複数社で不合格になった方が

努力して軌道修正され

最後に大変相性の良い企業に内定するという事例もあります。

合格するのも

不合格になるのも理由があります。

その理由を重視する事は

転職活動において最も重要な事です。

我々は、このような

採用選考プロセスから得られる情報の重要性を再認識して

この仕事をしないといけませんね。

こんな事を偉そうに言う私も

『他者比較で負けたんだから仕方ないですよね？』　とか

言ってしまっている時があるかもしれません。

「一番簡単な断り文句」

怖い仕事ですね。

「かねが人生の
　すべてではないが
　有れば便利
　無いと不便です
　便利のほうが
　いいなあ」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　みつを

合掌。