「仕事は独断的だからおもしろい?」
以前、キャンディデートのAさんから質問された事があります。
Aさん:「武谷(たけや)さんは、ブログに
『結果よりプロセスが大事』 というような事を書かれていると思いますが
それに関しては、どのように考えているんですか?」
私:「『結果よりプロセスが大事』 なんて書いた事は一度もありませんよ。
そのように誤解される文章を書いていたなら
申し訳ございません。」
Aさん:「そうなんですか?
私には
『結果だけ出しても、プロセスが悪ければダメだ』
と解釈できるようなブログもありましたが。」
私:「そうですか?
そのように解釈されたとしたら
私の書き方が悪いんですね。
済みません。
ただ、プロには 『KPI』 など必要ないと言ってるだけです。
単なるインジケーターより、仕事の中身が大切だという意味です。」
Aさん:「そうなんですか?
結果とプロセスの問題は、どのように考えているんですか?」
私:「人材紹介コンサルタントとして働いて
報酬を得ている以上は
最終的には結果がコンサルタントの評価です。」
Aさん:「そうなんですか?
結果よりプロセスを重視しているように読めたものですから。」
私:「そうですか?
済みません。
人材紹介コンサルタントの仕事は結果が全てです。
結果が伴わなければ、所詮、 『負け犬の遠吠え』 です。」
Aさん:「へー、そんな風に考えているとは意外です。」
私:「結果が良いのは、プロセスも良いからです。」
Aさん:「へー、『何でもかんでも紹介してはいけない』 とか
『結果にこだわるあまり、プロセスをないがしろにするな』 とか
『正しいプロセスを伴わない結果はブラックだ』 とか
そのような意味に受け取れる事を書かれていますよね?」
私:「はー、そんな感じですか?」
Aさん:「武谷(たけや)さんは、そんなにプロセスにこだわる立派な仕事をされて
目先のお金には興味が無い聖人かと思いましたよ。
実は違うんですね?」
私:「良い結果が出るのは、良いプロセスがあるからだと思っています。」
Aさん:「ほー、じゃあ、結果さえ出れば
プロセスはどうでもいい事になりませんか?」
私:「Aさん、『プロセスとは双方の納得感の問題』 ではないでしょうか?
企業と人材とが、それなりの納得感を持って結婚できるかどうかですよね。
私だって、キャンディデートを自分がご紹介した会社に決めたいですよ。
そのために、自分が良い会社だと思うクライアントに絞って自信を持って
ご紹介しているんです。
そんな立派なクライアントにも評価されたいし
お金も欲しいですよ。
聖人なんてとんでもない。
私は俗物です。
ただ、私はウソはつかないですよ。
クライアントの課題は正直に言います。
それから、キャンディデートの方にとって
私がご紹介した求人以外にも良い選択肢がある場合は
それを恣意的に排除するようなアドバイスはしないですよ。」
Aさん:「うーん、結局、仕事で大切に考えている事は何ですか?」
私:「自分の売上のために
『顧客の選択肢を恣意的に狭めず
クライアントとキャンディデート双方の納得感を大切にする』
という事でしょうか?」
Aさん:「え? もっとわかりやすく説明してください。」
私:「①ウソや間違った情報を提供しない。
②過去と同じ失敗をしないための選択軸を共有する。
③金銭目的のために、拙速なクロージングをしない。
④最後は、必ず顧客の意思を尊重する。
それだけです。」
Aさん:「それって当り前ですよね?」
私:「そうかもしれません。」
Aさん:「そう思いますが・・・。」
私:「でも、当り前な事を実行する事は簡単じゃないとも思います。」
Aさん:「でも結局、武谷(たけや)さんが
クライアントとして採用するわけでもなく
キャンディデートとして入社するわけでもないじゃないですか?
どこまでが自分の責任だと思っているんですか?」
私:「全てです。」
Aさん:「全て自分の責任だと思ってるなら
採用後も入社後も全部自分の責任だという事ですか?」
私:「その通りです。
仲人は私ですから
そこに逃げ場はありません。」
Aさん:「どんなブラック企業でも?
どんなキャンディデートでも?」
私:「はい。
それを見抜けず紹介した私が悪いんです。」
Aさん:「でも、そんなの100%見抜けないでしょう?」
私:「はい。
だからこそ、自分を鍛錬し続けるしかありません。」
Aさん:「『鍛錬』 ってなんですか?」
私:「はい。
やせ我慢しても
『良いと思うクライアントと良い思うキャンディデート』
に絞ってマッチングする事です。
『何でもかんでも紹介しない』 とは、そういう事です。」
Aさん:「でも 『良いと思うクライアントと良いと思うキャンディデート』 って
要するに、武谷(たけや)さんの独断ですよね?」
私:「はい。
独断ですし、私個人の価値観です。
仕事は私の自己表現の場です。
独断だから、私がやる意味があり
独断だから、おもしろい。
仕事とは、そういうものだと思います。
ですから、私と価値観が似ているお客様が多いのかもしれません。」
Aさん:「へー、でも独断的というのは客観性に乏しいですね?」
私:「はい。
そうかもしれませんね。(笑)
所詮、自己満足かもしれませんが
プロの仕事とは、他人からどのように評価されるかよりも
究極は自己満足の実現を重視する事が目標ではないでしょうか?
次元は全く違いますが
イチローの評価は、イチロー自身にしかできないと思います。」
Aさん:「結局、自己満足を肯定するんですね?」
私:「はい。
自分がマズイと感じる料理を
お客様に出さないでしょう?
どんな仕事でも、人間がやる以上、自己満足が大切だと思います。
ただの自慢ではなく、一人で嬉しくて陰でほくそ笑むような
自己満足です。
AさんにはX社、BさんにはY社、CさんにはZ社を紹介するのが正解だと
全て客観的に決められるなら、人材紹介ロボットがやればいいと思います。
そうだと思うのであれば
プロが握る銀座の寿司ではなくて
回転寿司を食べればいいですよ。
規模では 『スシロー』 には負けますよ。(笑)
ただ、『スシロー』 の影響で
銀座の寿司屋がつぶれたという話は聞いた事がないです。
看板は同じ寿司屋でも、やってる仕事は違いますから
お客様が求めるものも違います。
だから、スシローも銀座の寿司屋も共存できるんですね。
両方あってお客様が選べる方が良いのではないでしょうか?」
「いちずに一ツ事
いちずに一本道」 みつを
合掌。