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社長ブログ 人材コンサルタント25年史

「登録者レベル劣化の原因は人材紹介業の劣化です」

「登録者レベル劣化の原因は人材紹介業の劣化です」

その業界の社会的価値を決めるのは

その業界を利用するユーザーなのです。

最近、下記のような登録者にお会いする機会が増えていませんか?

・連絡をしてもレスが遅い。レスが無い。

・突然、音信不通になる。

・面談や面接のリスケが多い。

・約束をすっぽかす。

・都合の良い事だけ連絡してくる。

・しかし、都合の悪い事は連絡してこない。

・自分の情報や本音を開示しない。

・こちらの情報開示だけを求める。

・「個人情報が漏れるのではないか?」 と過度に心配する。

・履歴詐称など嘘をつく。

・現職の悪口を並べ立てる。

・しかし、自分は会社に貢献していない。

・無理な希望条件を並べ立てる。

・履歴書や職務経歴書を作れない。

・まともな日本語が使えない。

・約束した納期を守らない。

・簡単に内定を辞退する。

・その理由も言わない。

・直接会うとか電話を嫌い、全てメールで済ます。

しかし、上記のような事は

全て我々、人材紹介業に携わる人間の責任です。

昭和62年

私が当時の最年少キャリアアドバイザーになった26歳の時には

上記のような登録者は皆無だった言ってもいいです。

丁度、30年前ですね。

当時は、24歳から70歳まで

1年で約600人の方々にお会いしていましたが

私が本気で叱ったのは

何度も遅刻を繰り返したお一人だけでした。

・嘘つかない。

・逃げない。

・ごまかさいない。

・約束は必ず守る。

そのような方々ばかりでした。

土日・祝日も含めて、10~19時受付までフルオープン。

予約制でもなかったので

いつ、何歳で、どんな職種の方が、何人

お越しになるかわかりませんでした。

その結果、一日に25人の方々と面談した経験があります。

まさに、民間のハローワークですね。

その場で、キャリアシートを書いていただくのに1時間前後。

更に、SPIの簡易版を受験いただくのに1時間半。

お越しいただいて

いきなり登録手続きをしていただくだけで2時間半でした。

当時の登録者の方々には

大変お手数をおかけしてしまい

今でも申し訳なく思っております。

その2時間半の手続きが終わって

やっと我々キャリアアドバイザーとの面談です。

「聴く。とにかく聴くんだ。お越しいただいた方々の話が聴きたい。」

他のキャリアアドバイザーは50~60代の人生の大先輩でしたので

26歳だった私にできる事は

「とにかく、お越しいただいた方々の話を集中して聴く。

 自分がその人になり切るぐらい聴く。

 深く聴く事によって、何とかご信頼いただく。」

それしかありませんでした。

「この人は決まりそうだから聴く」 とか

「決まりそうもないから聴かない」 とか

そんな商業的な事は全く考えていませんでした。

そんな事よりも

当時はまだもの珍しく敷居が高かった人材紹介会社に

「意を決して思い切って相談に来て良かった。」

と思っていただき

できるだけ元気になって帰っていただく事だけを考えていました。

「『一期一会』 って、本当にあるんだな。」

と思っていただける事が

自分のやりがいであり、使命だと思っていました。

その後、私より若いキャリアアドバイザーも誕生して

同じ志を持って一緒に働きました。

今でも忘れられない素晴らしい仲間たちです。

RA(法人営業)としても高い業績を上げ

豊かな人間性と高い志を持った

素晴らしい仲間たちでした。

最初の3か月・半年ぐらいは良かったです。

しかし、その後は

あまりの忙しさと業績目標を達成できない焦りなどによって

みんな疲れてしまい

最初の時のような 

「相手の話を全身全霊で聴く。」

という姿勢が薄れてしまいました。

最後には

「今、会った人は当たり!!」 とか

「あー、またハズレだった!!」 とか

始めた時から考えると

信じられないような言葉が飛び交うようになってしまいました。

これは全て、プレイングマネージャーだった私の責任だと

今でも当時を思い出して痛感します。

このように、人材紹介会社に所属する人間

サービスをご提供する側の人間が腐ってしまうと

ユーザーである登録者の方々にも如実に伝わるものです。

大きなクレームは無かったですが

「折角来たのに形式的な対応で期待外れだった」 というような

サイレントクレームはたくさんあったと想像します。

当時の人材紹介業の市場規模は

届け出ベースですが

ぜいぜい100億円程度でした。

それが、今や3000億円市場ですか?

市場規模拡大に伴う事業者数の増加

人材紹介業の認知度の高まり

それによってユーザーの選択肢が増えて

人材紹介会社同士の競争が激化する。

それによってサービスレベルが向上する。

そうなれば良い事ですが

「効率や生産性 = 利益率」 

を追求する会社が増えたあまりに

「サービスレベルの向上」 

には、必ずしもつながっていない気がします。

それどころか

「私が決まれば150万円? 200万円?

 なんて美味しい楽な商売だろう?」

というように、ビジネス構造が露呈されてしまい

ユーザーである登録者の方々からは

「所詮、私は商材に過ぎないんだな。」

というように警戒され

心理的な距離を置かれるようになってしまったのではないでしょうか?

子供のレベル低下は親の責任。

ユーザーのレベル低下は、人材紹介会社の責任です。

私たち一人一人の責任です。

「人材紹介業はビジネスである。

 しかし、ビジネスに偏重すると

 自らの価値を失い

 いずれ社会にとって不必要になる。」

この原点を忘れずに

愚直に実直に誠意ある仕事をしたいと思います。

「弱きもの人間

 欲ふかきもの

 にんげん

 偽り多きもの

 にんげん

 そして人間の

 わたし」                               みつを

合掌。

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プロフィール


武谷 広人
人材ビジネス経験の蓄積と、自らのトップマネジメント経験を強みとする。経営幹部から専門職まで約500件の案件を成功に導く。

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