「退職者を気持ちよく送り出してあげよう」
先日、人材紹介コンサルタントのAさんとお会いしました。
Aさん:「実は、私の下にいるB君が退職することになりました。」
私:「えー、そうなんですか!!
同業他社に転職されるのですか?」
Aさん:「はい、X社に転職するそうです。」
私:「なるほど、X社ですか?
X社も良い会社ですが残念ですね。」
Aさん:「そうなんです。
でも、B君のためには、今の会社にいるより
X社に行った方が良いかもしれないとは思います。
彼はプレーヤーとして力をつけたいと
いつも言っていましたし
エグゼクティブ紹介の領域にも挑戦したいとの事です。」
私:「確かにそうかも知れませんね。
X社は厳しいですが
その分、実力は付くと思います。
B君は優秀ですから
きっとトップコンサルタントになれますよ。」
Aさん:「そうですね。
気持ちよく送り出してやりたいと思ってはいるのですが
正直なところ、B君には大変期待していましたし
もっと上に上がって欲しいとも思っていたので
残念な気持ちの方が大きいんです。
自分の器の小ささが嫌になります。
上司として失格ですね。」
私:「いやいや、Aさんの気持ちはよくわかります。
それが自然で正直な気持ちでしょう。
ここまでB君を育てられたAさんは立派だと思います。
そんなAさんがいて、B君が成長できたからこそ
次の目標もできたのだと思いますよ。
B君は、Aさんにとても感謝しているでしょう。」
Aさん:「そうですね。
親心で温かく送り出してやります。
これからも一緒に飲んだり交流もするでしょうから
彼の成長を楽しみに
私も負けずに頑張ります。」
「競業避止」 という誓約書で
競合他社への転職を禁止する人材紹介会社もあります。
しかし、あまり拘束力はなく
多くの人材コンサルタントが同業他社へ転職しています。
ただ、会社によっては退職時に揉めるケースもあります。
退職したいと切り出した瞬間に
「明日からもう来なくていい」
という会社もあります。
また、退職日を無理やり引き延ばそうとしたり
社内であからさまに冷たい仕打ちをしたり
残念ですが、そんな話を伺う事も少なくありません。
逆に、辞意表明した途端に
昇進や昇給の話を持ち掛けて
引き留めようとする会社もあります。
いずれにしても
社員の退職時にどのように対応するのかという事が
会社としての品格や
経営者の社員に対する思いの現れだと感じるのです。
会社に対して不満があって辞める人も多いでしょう。
それでも、その会社の全てを否定しているわけではなく
大半の人が感謝もしています。
その上で新しい道を選んだのですから
やはり、最後は気持ちよく送り出してあげたいですね。
その積み重ねが、その会社の良い評判にもつながります。
Aさんの気持ちは大変よくわかります。
その気持ちを正直にお話しされた上で
B君を応援したいとおっしゃるAさんは立派ですし
B君は良い上司に恵まれて幸せだと思います。
組織を超えて 「一期一会」 を大切に
多くの人が幸せな転職ができると良いですね。
「そのときの出逢いが
人生を根底から
変えることがある
よき出逢いを」 みつを
合掌。