「目先の損得より誠実なアドバイスを」
先日、人材紹介コンサルタントのAさんと下記のようなお話をしました。
Aさん:「つい昨年、新卒で現在の会社に入社して
まだ1年もたっていない若い方が
相談に来られて面談しました。」
私:「へー、まだ23歳ぐらいですか?」
Aさん:「はい、その通りです。
大変素直な好青年でした。
転職したい理由も詳しくお伺いしたら
私にも似たような経験があったので
彼の気持ちは理解できました。」
私:「どんな転職理由だったのですか?」
Aさん:「学生時代に漠然と
社会にこんな風に貢献したいと考えていた事があって
それを実現できると思って、今の会社に就職したんです。
ただ、それと現実とはギャップがあったんです。
それは学生時代に産業とか企業に関して
深く知らなかったから
わからなかったという理由なんですよ。
私も昔、そう感じた事があるのでよくわかりました。」
私:「なるほど。
確かに学生さんが就職活動で見ている産業や企業は
現実とはかなりギャップがあるかもしれませんね。
でも、それを事前に知る事も難しいでしょうね。」
Aさん:「そうなんですよ。
ただ、私は彼の気持ちがよくわかりましたが
『せめてもう1年頑張れせんか?』
と言いました。」
私:「Aさんらしいですね。」
Aさん:「まだ若いですし
今はどこの会社も採用に困っていますから
無理やり探せば必ず転職できるとは思います。
でも、それでは彼の願うような転職にはならないでしょう。
やはり1年未満で辞めてしまうと
現実的にはマイナス評価されてしまう可能性が大きいですからね。
とても好青年だっただけに
ここで考え直して欲しいと心から思いました。
人材コンサルタントとしてはダメなのかもしれませんが。」
私:「いいえ。
Aさんの判断は誠実で正しかったと思いますよ。
いや、正しいか正しくないかではなく
Aさんはコンサルタントとして当り前の事をしたんだと思います。
コンサルタントだからこそ
目先の売上より大切にしなければならない心があるでしょう。」
Aさん:「そう言っていただけると少し安心しました。
その彼も
『そうですね。もう少し頑張る事を考えてみます。』
と言ってくれました。」
人材紹介コンサルタントは、現実に対処する力が大切です。
きれいごとだけでは成り立たないのもビジネスだと思います。
しかし、Aさんのように
ご登録者の方のためを考えて
転職を思いとどまるようアドバイスするのは
単純に 「ご登録者に寄り添う」 という意味ではなく
コンサルタントとしてのプロ意識の現れではないかと思います。
そのご登録者の方が
このタイミングで転職した方が良かったのか、そうではないのか?
絶対的な正解は誰にもわかりません。
ただ、Aさんはその方にとってベターな選択が何かを
誠実に考え自然に伝えたのだと思います。
Aさん自身が
普段から無意識にキャンディデートやクライアントにとってベターな事を
考えて仕事をしてきたからこそなのでしょう。
ご相談に来られた青年にも
きっとAさんの真心が伝わったのでしょう。
一期一会を大切に
温かい心とプライドを持って仕事をしたいですね。
「いちずに一本道
いちずに一ッ事」 みつを
合掌。