「最初の会社から受ける影響は大きい」
様々な方々と接している人材紹介コンサルタントの皆さんは
お客様が在籍されている業界や会社による
考え方や価値観の違いを目の当たりにする事が多いと思います。
例えば、以前お取引があった部品商社さんでは
「大手商社ご出身の方はできれば採用したくない」
というお話をされていました。
理由をお伺いすると
下記のようなお話をされていました。
「我々は1個50円の製品をコツコツと
お客様に納める大変地味な仕事です。
製品ごとの利益率も低いです。
一方、大手商社の方は一つのプロジェクトを纏めたら
何十億・何百億という大きなビジネスをする事に
喜びを感じる方が多いと思います。
過去、大手商社から当社に転職してきた方も
地味な仕事に物足りなさを感じていたようです。
大手商社の方は営業力があって非常に優秀なのですが
当社にはもったいないですし
ビジネスに対する価値観が合わないと思うのです。」
これは良い悪いではなく
育った環境によって形成された
ビジネスに対する価値観の違いが大きいと思います。
元々持っている個人の性格や考え方もあるでしょうが
社会人として長期間所属していた
業界や会社で培われた価値観というものは
個々人のビジネス感覚に大きく影響します。
先日、人材紹介コンサルタントのAさんと、下記のようなお話をしました。
Aさん:「実は先日、学生時代の友人から
人材紹介コンサルタントになりたいという相談を受けました。」
私:「へー、そうですか。
異業界の方ですか?」
Aさん:「はい、今は大手上場企業で営業をしています。」
私:「なるほど。
それなら、Aさんの会社でも検討できるのではないですか?」
Aさん:「そうですね。
確かにその友人は賢くて能力もあります。
ただ、色々と話をしてみると
やはり組織や仕事に対する意識や考え方が違いすぎるんです。
友人の会社は給与も安定していますし
自己啓発をサポートする福利厚生もあります。
彼はそういう環境に慣れてしまっているんです。
ですから、その辺の違いを余程覚悟して転職しなければ
彼にとって不幸だと思いました。
従って、もう一度よく考えるように話をしています。」
私:「なるほど、そうですね。
ご友人のいる業界や会社では、それが当り前の事でしょうね。
しかし、人材紹介業界では
基本的に自走できる人でなければ厳しいですね。」
Aさん:「学生時代は本当に仲が良くて
考え方や価値観も似ている友人でした。
本来のキャラクターを比較すると
私より彼の方がアグレッシブだったと思います。
しかし、10年も別の業界で仕事をしていると
価値観や考え方が大きく変わるんですね。
今回あらためて感じました。」
Aさんのお話で感じたのは
やはり、どこで働くかという事は大変重要だという事です。
10年かけて培われた価値観は
そう簡単には変わらないからです。
学生時代に10年先、20年先を考えるのは難しい事ですし
そんな必要もないと思います。
ただ、自分がどんな価値観を大切に生きていきたいのか?
という視点は持って
就職活動をしてみると良いでしょう。
色々な業界や大小様々な会社の方々と接点を持つ事によって
多様な価値観に触れる事ができます。
我々の仕事は、まさにそれを体感できますね。
これは、大変有り難い事だと思います。
「人の世の幸不幸は
人と人とが逢うことから
はじまる
よき出逢いを」 みつを
合掌。