「どの程度まで強くクロージングすべきか?」
皆さん、いよいよ12月末、そしてQ末で
まさにクロージングに奔走されている方も多いと思います。
先日、現役の人材紹介コンサルタントAさんとお話しました。
Aさん:「先日あるキャンディデートが内定したんですが
その方は別の企業への入社を決めたので
結局、成約できなかった案件がありました。
振り返ると自分のクロージングの仕方が良くなかったかなと
反省しています。」
私:「そうですか、それは残念でしたね。
どんな点が良くなかったと感じていらっしゃるんですか?」
Aさん:「企業側は是非とも採用したいと大変前向きで
『Aさんの件、何としても宜しくお願いします!!』
とプレッシャーもあったんです。
ですから、かなり前のめりにクロージングしてしまったんですよね。
最後はそれでキャンディデートの方も
引いてしまったのではないかと。」
私:「なるほど、でもAさんの気持ちはよくわかります。
クライアントのためにできるだけの事をしたいというのは
担当コンサルタントとしては当り前ですよね。」
Aさん:「はい、でも実は自分の担当企業より
キャンディデートが選んだ企業の方が
魅力的だと内心思っていたんです。
だから悶々としながら
つい強引な言い方をしてしまったのではないかと。」
私:「でもそのように自己分析できているんですから
きっとキャンディデートにもクライアントにも
Aさんの苦しい努力は伝わっていると思いますよ。」
Aさん:「そうでしょうか?
内定が出た時のクロージングをどこまで強くやるか?
というのは大変難しい課題ですね。
自分の担当企業を選んだ方が絶対に良いと
確信していればいいのですが
他の企業の方が良いのではないかと思える時もあって
そんな時はいつも悩みながらクロージングしています。」
私:「どちらが絶対に良いという確信は
誰にも持てないと思いますよ。
別の企業の方が良いというのも
Aさんの思い込みかもしれません。
驚くような人生の選択をして
幸せになっている人もたくさんいるじゃないですか?」
Aさん:「確かにそうかもしれませんね。
あとはやはり自分の業績のためにクロージングしているのではないかと
キャンディデートに思われるのも嫌なんです。」
私:「Aさんは、本当にそう思いながらクロージングしているんですか?」
Aさん:「うーん・・・。
そう言われてみると、そうでもないかもしれません。
当然、営業ですから、全くそんな気持ちがないわけではないですが
クライアントの期待に応えたいという事が一番でしょうか?」
私:「それで良いのではないでしょうか?
大切なのはクライアントの要望に応えるという姿勢だと思います。
それが我々のビジネスですから。
でも、前のめりになり過ぎないように
キャンディデートご自身が冷静に考えて選べるようにできれば
コンサルタントとしては十分ではないでしょうか?」
Aさん:「そうですね。
上司からも
『押してダメなら引いてみろって言うだろう?』
って言われました(笑)。」
私:「Aさんの真っすぐで一生懸命な所がよくわかりますね。
良い情報ばかり伝えるのではなく懸念点も伝えて
あとはキャンディデートにボールを投げて静かに待つ事も
大切だと思いますね。
まさに『押してだめなら引いてみろ』ですね。
そうやってキャンディデートの方々と向かい合えば
自分の担当企業に入社されなかったとしても
お互い長くお付き合いできるのではないでしょうか?」
クライアント企業から内定が出た最終局面で
キャンディデートが迷っている場合
人材コンサルタントの皆さんは
何らかの働きかけやアドバイスをされると思います。
時折、「強引なクロージングをされました」
というキャンディデートのお話を伺う事もあります。
最後までクライアント企業のために
できる限りの事をするのは
担当コンサルタントとしては当然でしょう。
100%ニュートラルである事は難しいと思います。
それでも、できるだけ客観性を保ちながら
営業としての努力をできるかという点が
バランス感覚の妙ではないでしょうか?
長年この仕事をしていれば
Aさんのように 「あの時はこうしたら良かった」 と思う事も度々あります。
その思いを忘れずに
「次はより良いサービスを提供しよう」
という気持ちが一番大切だと思います。
「クライアント」 「キャンディデート」 「エージェント」
三者のWINが気持ちよく成り立つように
精進あるのみですね。
「にんげん
我慾のかたまり
にんげんのわたし」 みつを
合掌。