「業績だけが事業目的になったら社員は腐り会社は滅びる」
先日、ある人材紹介会社の営業部長のAさんとお会いしました。
Aさん:「うちの会社は何とかここまで来ましたが
なかなか方針が定まらず今も迷走してます。」
私:「そうですか?
色々大変な事があるとは伺っていますが
それでも売上は毎年伸びていますよね?」
Aさん:「そうですね。
確かに業績は悪くないです。
ただ、必ず予算達成しろというプレッシャーが強すぎて
営業現場は何でもいいから
数字のツジツマだけを合わせようという空気になっているんです。」
私:「ツジツマ合わせですか?
それは良くない傾向ですね。」
Aさん:「はい、そう思います。
思いを持って事業を作っていく以上は
変えてよい事と
変えてはいけない事があると思うんです。」
私:「具体的には?」
Aさん:「うちの会社がこの事業によって何を目指すか?
という事業目的や軸は変えてはいけないと思うんです。
不採算部門の尻ぬぐいのために付け焼刃的に何かをやるとか
たった一年やった事がうまくいかないので全く逆の事をするとか
そういう場当たり的な事をやり始めると
社員も何が大切なのかという軸を見失ってしまいますよね?」
私:「なるほど。
本来の事業目的より
業績を短期的に上げる事が目的になってしまっては本末転倒ですよね。」
Aさん:「おっしゃる通りです。
当然、うまくいかない事を軌道修正する必要はありますが
現場をよく知らない上の人が決めた業績目標のために
社員が働くようになってしまうと
社員の主体性がなくなっていきます。
今、うちの会社はそういう危うい局面にあると考えています。」
企業である以上
売上も利益も大切なのは当たり前です。
しかし、それ以上に大切な事業目的や軸があって
それを見失ってしまうと
企業の活力がなくなってしまうのは
Aさんのおっしゃる通りでしょう。
規模の大小に関わらず
社員の意識やモチベーションの高い企業は
業績以外に自社が目指す事業目的や軸をしっかり共有しています。
社員の意識が高く保てなければ
目先の業績は何とかなっても
3年後、5年後は視界が悪くて見えません。
人材紹介事業は、一見誰でもできるビジネスのように見えますが
組織を作り永続させていくための基盤を作るのは大変時間がかかります。
特に、異業界から人材紹介事業に新規参入した企業の中には
この事を十分理解されておらず
何年やっても立ち上がらないケースが多いです。
昔、クライアントだった企業の社長さんが
「企業は必ず成長しなければならないわけではない。」
とおっしゃって、ハッとさせられました。
「売上や利益が飛躍的に伸びなくても企業の存在価値は別の所にある」
という事だと思います。
実際、この社長さんの会社は
まさに「オンリーワン」の事業を磨き続けており
究極のトップシェア企業です。
このように、お客様にとっても社員にとっても
価値の高い企業づくりを目指したいですね。
「トマトがトマトであるかぎり
それはほんもの
トマトをメロンに見せようとするから
にせものとなる」 みつを
合掌。