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社長ブログ 人材コンサルタント25年史

「暗黙知の伝承が品質向上と差別化につながる」

「暗黙知の伝承が品質向上と差別化につながる」

業種や仕事の内容によって異なるとは思いますが

大よそどんな仕事においても

「形式知」と「暗黙知」が存在します。

形式知とは仕事の生産性を上げるためのマニュアルです。

仕事の内容を分析し標準化する事によって

多くの人が一定以上の能力を身に着け仕事をこなす事ができます。

組織がある程度大きくなると

この形式知を明示し共有する事が大変重要になります。

新卒採用をしたり

中途採用でも未経験の人が入社してきた時

標準化された一定の教育を行う事が可能となり

早期に戦力化しやすくなります。

一方、誰にもわかりやすく明示する事は難しいのですが

仕事の能力や質の向上という面で

大変重要な鍵となるのが暗黙知です。

例えば、トップコンサルタントは暗黙知を豊富に持っています。

しかし、その暗黙知を人に伝承したり教えたりする事は大変難しいのです。

ベテランのAさんであれば、こういう場面ではこういう対応をする。

でも、新人Bさんに対して、なぜAさんがそうするのかを説明するのが難しい。

仮に説明はできたとしても

同じようなケースに遭遇した時に

BさんがAさんと同じ対応ができるようにするのは容易ではない。

「難しい仕事の勘所」とでも言うべきものでしょうか?

例えば、伝統産業に携わる職人さんや熟練技術者の方の仕事を

思い浮かべると、何となく想像できると思います。

容易に他人に伝承できない職人技だから暗黙知なのです。

このような暗黙知は

教えてもらうというより

一緒に働きそばで職人技を何度も見て

真似して盗む事によってしか得とくできません。

暗黙知を持った達人の真似をして

試行錯誤しながら近づいていくものです。

人材紹介コンサルタントの仕事内容には

かなり多くのアナログな部分が存在します。

トップコンサルタントを育てるには、この暗黙知が大変重要です。

一つ一つの異なる案件に対応する中で

そのケースに応じた最適な判断や行動をするために

「難しい仕事の勘所=暗黙知」がものを言います。

そしてこれは、高業績を上げるという意味だけではなく

その仕事における危機管理能力にもつながります。

以前、JR西日本の福知山線で大きな脱線事故があった際に

JR社内における暗黙知の継承がされていなかったという指摘がありました。

旧国鉄時代には

電車が大好きで電車を知り尽くした鉄道員さんが数多くいました。

しかし、団塊世代が大量に定年を迎えた事により

暗黙知を持ったベテラン鉄道員たちがいなくなり

若い世代にそれが引き継がれていなかったという事です。

ただ、暗黙知を大切にして社員を育てるのは、大変根気が必要です。

一朝一夕にできる事ではありません。

仕事にはマニュアルにない暗黙知が必ず存在します。

この暗黙知に着目するかどうかで

個々の社員の仕事の品質だけでなく

社員教育の在り方や会社全体のサービス品質も変わってしまうのです。

「ひとつの事でも
 なかなか
 思うようには
 ならぬものです
 だからわたしは
 ひとつの事を
 一生けんめい
 やっているのです」                       みつを

合掌。

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プロフィール


武谷 広人
人材ビジネス経験の蓄積と、自らのトップマネジメント経験を強みとする。経営幹部から専門職まで約500件の案件を成功に導く。

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