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社長ブログ 人材コンサルタント25年史

「感動のグッバイ・ウェーブ」

「感動のグッバイ・ウェーブ」

皆さんは「グッバイ・ウェーブ」という言葉をご存じですか?

私も最近まで、この言葉を知りませんでした。

ただいつも、特に日本の飛行機に乗ると

「あー、また外で手を振ってくれてる人たちがいる!!」

と思って、こちらも手を振っていました。

離陸準備に入った飛行機を整備士が操縦士に敬礼し

出発する飛行機に手を振る姿を

空港で目にした事がある方も多いでしょう。

特に日系のエアラインでは必ず行われているようです。

最近、色々な所で取り上げられているお話ですので

ご存じの方も多いでしょうね。

これは今から40年以上前に沖縄のANAに勤める

一人の整備士さんから始まったことだそうです。

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まだボーイング737型機が飛び始めたころのお話です。

ANA沖縄空港支店に飛行機が飛び続けるたびに

手を振り続ける一人のベテラン整備士がいました。

当時の機材は飛び立つ時に爆音と真っ黒な排気ガスを噴き出すため

ほとんどのライン整備士はすぐに事務所に引き上げていました。

ところがその整備士だけは毎日飛び立つ飛行機に向かって手を振っていたのです。

ある年そこに配属されてきた新人整備士が疑問に思い率直に聞いてみました。

「先輩はどうしていつも手を振っているのですか?」

「俺は元々沖縄出身なんだよ。

お客さんが沖縄まで来てくれて

真っ黒に日焼けして帰っていく姿をみると

『良かったですね、来た甲斐がありましたね。』って嬉しくなるんだ。

だけど台風や雨の日が続いて真っ白い肌のお客さんを見ると申し訳なくて

『もう一度素晴らしい沖縄を見にきてください』って心の中でお願いするんだ。

そんな気持ちを込めて手を振っているんだよ。」

「時々機内のお客さんが手を振り返してくれるのを見るとすごく嬉しい気持ちになるんだ。

俺たちが整備している飛行機に乗っているお客さんから手を振って貰えるなんて

幸せなことじゃないか。」

この話に感動した後輩はその日から同じように

出発する飛行機に手を振るようになりました。

出典:「お客様と共に最高の喜びを創る 社会経済生産性本部編」

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やがてこの輪は広がり

いつの間にかANA沖縄支店整備課はおろか

日本全国他の航空会社でも

そして今では、日本のみならず海外でも行われているそうです。

このお話には「働く事」と「企業のサービスの在り方」に関して

それぞれの重要なポイントがあると感じました。

一つ目のポイントは

「整備士」という普段お客様と接点はないが重要な仕事をしている

「縁の下の力もち」の人たちが、お客様を見て働く事の重要性です。

誰でも

「人の役に立ちたい、人に喜んでもらいたい」

という気持ちがあると思います。

それは、仕事をする上で、大きなモチベーションの源泉です。

弊社にも

「人の役に立つ仕事をしたいので人材紹介コンサルタントになりたいです」

とおっしゃって、ご相談に来られる方が多いです。

しかし、本来は人材紹介コンサルタントように直接お客様と接しなくても

誰もが仕事を通じて誰かの役に立っているのです。

それを感じよう見ようとするかしないかで

仕事の在り方は変わってくるのではないでしょうか?

飛行機に乗るお客様は

整備士さんに直接ありがとうと言う機会はほとんどないでしょう。

整備士さんは、お客様の笑顔を直接見る機会も少ないでしょう。

それでも、この整備士さんのように自分からお客様に目を向けることによって

お客様の笑顔を見る事ができるのです。

そして、もう一つの重要なポイントは

企業が顧客に感動を与えるようなサービスは

このようなたった一人の現場の社員の

日々の仕事のささやかな喜びの中から生まれてくるのだという点です。

サービスというものは

提供する側にとっても受ける側にとっても

ささやかだけれど温かい喜びを表現したものなのですね。

「ご利用いただきまして、ありがとうございます」

「良い仕事をしてくれてありがとう」

それは企業が決めたルールや仕組みを超えて

そこに携わる人たちの思いであり智恵なのだと感じます。

「経営」という視点でも「個人の働きがい」という視点でも

深く考えさせられる良いお話だと思いました。

「土の中の水道管
 高いビルの下の下水
 大事なものは
 表に出ない」                           みつを

合掌。

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プロフィール


武谷 広人
人材ビジネス経験の蓄積と、自らのトップマネジメント経験を強みとする。経営幹部から専門職まで約500件の案件を成功に導く。

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