「転職さえすれば人生どうにかなる?」
最近の若い方々は、転職に慎重な方が多いと思います。
それでも時々、楽天的な方もいらっしゃいます。
以前、お会いしたAさんもそうでした。
私:「Aさんは、これまで営業職一筋の経験で
それは立派だと思います。
ただそれだけに、今回希望されているような
企画系の仕事はなかなか難しいと思うんですよ。
せめてこれまでの経験と何かつながりがなければ
即戦力ではないと判断されて不利ですよ。」
Aさん:「やはりそうですか?
でも私は今のところ営業以外の仕事を
探してみたいんですよね。」
私:「営業職は肌に合いませんか?
今の仕事に関しては、どう思っていらっしゃいますか?」
Aさん:「営業をやってみて
どちらかと言えば
自分に合っていると思います。」
私:「だったら大きな問題はないんじゃないですかね?
どうしても転職したい場合は
別の会社での営業職だったら
仕事のやり方も違うと思いますから
ステップアップにもなるかもしれません。」
Aさん:「営業だけじゃなくて
やっぱり仕事の幅を広げたいんですよ。
今の会社はローテーションもないので
異動できる可能性も無いんですよね。」
私:「営業職以外に
どうしてもやってみたい仕事があるのですか?」
Aさん:「いえ、別にそういうわけではないのですが・・・。」
私:「だったら、本当にやりたい仕事が見つかるまでは
無理に転職しない方がいいんじゃないですか?
今の会社は大手企業で安定してますよね。
転職の目的も不明確なのに
辞めるのはもったいないと思いますよ。」
Aさん:「はい。
でも最近は終身雇用の時代じゃないですよね?
だから今の会社にずっといるつもりは無いんです。」
私:「おっしゃることはわかります。
でも、だからと言って
誰もが転職しなければいけないわけではないですよ。
今の会社に大きな不満があるわけでもない。
どうしてもやりたい仕事があるわけでもない。
それなのに無理に転職する必要はないですよね?
ただ転職歴を増やしても
人材紹介コンサルタントが儲かるだけですよ。」
上記のように
水掛け論のような話なのですが
Aさんはなぜか?
「自分は転職しなければいけない」
と思い込んでいます。
そして、何をしたいかを考える前に「転職したい」とおっしゃるのです。
Aさんは20代でまだ独身ですから
生活の心配もないのでしょう。
しかし、未来のAさんが心配です。
「今とは別の仕事をする事がキャリアアップである」
「終身雇用の時代ではないので
転職する事によってキャリアアップできるだろう」
という、よくわからない考え方に洗脳されています。
Aさんの場合は極端な例ですが
転職活動をしている中で
時々本来の目的を見失ってしまい
「転職そのものが目的」
になってしまう人がいます。
大切なのは
「なぜ転職するのか?」
「転職してどうなりたいのか?」
更に、転職先でパフォーマンスを発揮し
充実した経験を積んで成長する事です。
転職は目的を果たすための手段でしかありません。
この順番だけは決して間違えないでいただきたいと思います。
腰が重く慎重すぎて転職機会を逸してしまう人がいます。
その一方で、Aさんのような方もいます。
Aさんには熟慮していただき
次への一歩を踏み出される事を願っています。
「間口をひろげると
奥行は浅くなる」 みつを
合掌。