「好き・嫌いで決めるのは悪いこと?」
友人のAさんが訪ねて来て
ランチをご一緒しました。
そして、Aさんが今の会社に入社した時の話になりました。
私:「Aさん、今の会社はもう3年ですよね?
あの時は確か人材紹介会社を通じて転職しましたよね?」
Aさん:「はい。
あの時はX社の紹介で現職に転職しました。
Bさんと言うベテラン人材コンサルタントがいて
その人にお世話になりました。」
私:「今の会社以外の会社も紹介されましたか?」
Aさん:「はい。
他にも何社か応募して
最後は現職を含む3社から内定をいただきました。」
私:「なぜ今の会社に決めたんですか?」
Aさん:「実は結構迷ったんですよ。
それで、担当コンサルタントのBさんに
『ぶっちゃけどう思いますか?』
と聞いてみたんですよね。」
私:「それでBさんから、どんなアドバイスをされたんですか?」
Aさん:「いえ、Bさんは
『Aさんなら、どこに行っても大丈夫ですよ。
3社の条件もあまり変わりませんし
それぞれ良い所がありますよね。
ただ、私に言える事があるとしたら
私は、○○社が一番好きですね。』
と言ったんですよ。」
私:「へー、何かわかるような気がします。」
Aさん:「Bさんは気が合う人だと思っていたので
Bさんが好きだと言う会社なら
自分も好きかもしれないと
根拠は無いですがそう思ったんです。
ここは良い会社ですよ、という話はよく聞きますが
信頼する人材コンサルタントの方が『自分が好きだ』と
おっしゃった事が心に響きました。
好き・嫌いという率直な感想が
一番素直に受け入れられるのかもしれません。」
私は、Aさんの今の会社の事もよく知っているので
担当コンサルタントのBさんが
「好きだ」と言った理由も理解できます。
人材採用や企業選択の場面で
論理的な根拠の無い好き嫌いは
一見タブーのように思われます。
しかし、実際には
企業と人材双方の選択に影響を及ぼしている大きな要因は
好き・嫌いという人間的な感覚だと思います。
人材要件や雇用条件など
客観的なマッチングが適合している事を前提とすれば
そこから先は誰でも
より好きな人材を採用したいと思うでしょうし
より好きな会社に入社したいと思うのは自然な感情です。
そこに複雑な理屈はありません。
あらためて考えますと
転職や採用の場面だけでなく
人生の様々な場面において
人間の好き・嫌いという感情が
その時の意思決定に大きな影響を及ぼしています。
日本人は協調性を大切にします。
従って、好き・嫌いをハッキリ言う人は
「自分勝手でわがまま」
と思われがちです。
しかし、周囲への心遣いさえ忘れなければ
様々な場面で、正直に好き・嫌いを述べる事は
決して悪い事ではないと思います。
「にんげんだもの」 みつを
合掌。