「想定外の事を楽しめるか?」
以前、キャンディデートのAさんから、下記のような事を聞かれました。
Aさん:「私は次の会社で長く働きたいんです。
5年後、10年後でも
私がB社で働き続けているイメージはありますか?」
私:「Aさん、お気持ちはわかりますが
残念ながら、今の時点ではわかりません。
少なくとも責任をもって断言する事は無理です。
B社の10年後の状況もわかりませんし
Aさんの気持ちが変わって
転職しているかもしれませんよね?」
Aさん:「確証がないから答えられないという事ですか?」
私:「はい、そうです。
この仕事は、どんな場面でも確証などありません。
いや、この仕事だけでなく
人生においても
確証が得られる事などほとんど無いでしょう。
また、人材紹介の仕事は
特に不確定要素が強いかもしれませんね。
素晴らしく相性の良い企業と人材だと思ってご紹介しても
入社数か月後に辞めてしまう事もあるんです。
5年後、10年後の事など
どんな優秀な人材コンサルタントにもわかりません。」
長年、人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)を経験された方には
ご理解いただけるでしょうが
この仕事には「不確定要素」が多いですよね。
白か黒か?
明確に判断できない事が多いです。
当然、他の仕事にもそういう部分はあるでしょうが
例えば
何かの製品を作っているメーカーさんでは
「想定外の不具合」は
基本的に許されません。
企業生命に関わります。
従って、お客様が購入する時点では
少なくとも
「約束した機能は100%保証」
である事が大前提です。
しかし、私たちのように
モノではなくて
個性を持って生きている人材を扱う仕事では
「100%保証」とまでは行きません。
加えて、個々のクライアント企業にも
独自の歴史やカルチャーと言う個性があるのです。
そこで働く社長さんや上司や同僚の社員の方々にも
それぞれ個性があります。
要するに、この仕事は
不確定・不定形な個性と個性とのマッチングなのです。
従って、「想定外」の事が頻繁に起こります。
これは悪い事ばかりではなく
良い意味での「想定外」も起こります。
「期待以上に良い会社ですよ」とか
「期待以上に素晴らしい人材ですよ」とかですね。
そこが、この仕事の醍醐味でもあるわけです。
ですから
「想定外を楽しむ」
「想定外の事が起こることを前提に対応する」
という泰然自若とした気持ちを持っている事が
重要であると思います。
突き詰めると
人生は想定外の事だらけで
何の確証もありませんよね。
だからこそ楽しいのだと思います。
そして、想定外の事にも泰然として対峙する事によって
強く生きていく力もついていくのではないかと思います。
人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)を長く続けると
少々の事では驚かない人間になれるかもしれません。
「その場がきなけりゃ
わかんねえ」 みつを
合掌。