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社長ブログ 人材コンサルタント25年史

「自分の転職なのか?奥さんの転職なのか?(その2)」

「自分の転職なのか?奥さんの転職なのか?(その2)」

昨日の続きです。

キャンディデート:「はい、そうなればそうだと思います。

            しかし、それ以前に

            私は人材コンサルタントに向いていると思いますか?」

私:「えー!!

   『自分の天職にしたい』 と言ってましたよね?

   今更、振り出しに戻りますか?」

キャンディデート:「それはそうですが

            家内に絶対迷惑をかけないという確信が持てないと

            転職できません。」

私:「絶対なんて保証は

   どんな業界のどんな会社に転職しても無いですよ。

   家庭を守れるだけの業績を上げて

   年収を上げられるかは

   全て貴方の能力と努力にかかっています。」

キャンディデート:「それはそうですが・・・・・。

            とても大きな決断になりますので

            正直迷ってしまいます。」

私:「奥様に転職のご相談をされるのは

   とても大切だと思いますし

   良い事だと思いますよ。

   奥様にご理解いただく事も

   成功されるためには必要ですよね。」

キャンディデート:「はい、そう思います。」

私:「はい。

   ただ、今回の転職は誰の転職でしょうか?

   転職するのは貴方ですよね?

   奥様の転職ではない。

   奥様には、もう十分相談してきたじゃないですか?」

キャンディデート:「はい、もちろんそうですが。」

私:「わかりました。

   貴方の人生の最終意思決定者は奥様という事ですね?

   貴方には自分の人生の決裁権が無い事がわかりました。

   ご自分の人生なのに

   奥様が貴方の仕事を決めるわけですね?」

キャンディデート:「いや、家庭生活がありますから

            自分の一存では決められません。」

私:「承知致しました。

   確かに最近はそういうご家庭も多いでしょう。

   ただね、『人の人生の岐路に関われる仕事をしたい。』 とおっしゃる貴方が

   自分の進路も自分で決められないとなると

   他人の転職に関してアドバイスなどできますか?

   そもそも人生とは意思決定の連続じゃないですか?

   進学・就職・転職・結婚・子育て・住宅購入・親の介護など

   次から次に重要な意思決定が必要になります。」

キャンディデート:「そうですね。」

私:「私は進学も就職も転職も独立も

   誰にも相談した事が無いんですよ。

   もちろん、親にも家内にもですよ。

   全て私の判断に任せて

   良くも悪くも私の人生は私次第だと任せてくれています。

   だって、人生なんて自分で決めて

   自分で切り開くしかないですもん。

   その結果は全て自分の責任です。

   どんな仕事をしても

   ちゃんと稼いで家族に不自由な思いはさせないというのが

   男じゃないんですか?

   基本的にそういう考え方を持っている人が

   この人材コンサルタントに向いていると思います。

   その意味では

   自分の転職を自分で決められない貴方は

   ご自分でもおっしゃるように

   人材コンサルタントには不向きかもしれません。」

キャンディデート:「そうかもしれませんね。」

私:「わかりました。

   もういいじゃないですか?

   今回の内定は辞退しましょう。

   私が責任を持って

   辞退される事をお勧めします。

   入社前の段階でそこまで迷われる方々の場合は

   無理に転職されても

   短期間で離職される事が多いですから

   クライアントにも貴方にも良い結果に

   はならないと思います。

   また、貴方の上司になる予定の方は

   大変決断力のある方で

   部下にも即断即決を求める方です。

   そんな上司とはうまくやっていけないでしょう?

   本当に無理に転職する必要はありません。

   今回は奥様のご意見に従って

   辞退されてください。」

このような経緯で

貴重な成約案件を内定辞退にしてしまいました。

クライアントにも陳謝しなければいけません。

採用責任者:「え!! 

         辞退ですか?

         最高の条件を提示したつもりですが

         一体何が?」

私:「採用されても御社のためにならないと判断しましたので

   辞退していただきました。

   勝手な事をして

   誠に申し訳ございません。」

採用責任者:「そうですか?

         実は私もオファー面談をさせていただいた時

         『この方をこの条件で採用してもいいのかな?』

         と正直疑問を持っておりました。

         ご自分の意思が弱い方だと感じました。」

私:「申し訳ございません。

   今回は私がご本人にお化粧をさせ過ぎました。

   二次面接の評価がボーダーラインでしたので

   最終面接の前に面接対策をやりすぎました。

   その結果、最終面接の評価が高くなりすぎて

   分不相応な高い年収提示をしていただきました。」

採用責任者:「承知致しました。

         役員には私から報告します。」

私:「大変申し訳ございません。

   折角ご採用いただいても

   『期待はずれだった』 という結果になる事だけは避けたいものですから。」

採用責任者:「はい、私も同感です。」

色々な人がいて

色々な人生

色々な価値観があります。

「だからこそ世の中はおもしろい」 と思えなければ

人材コンサルタントなどやってはいけないのでしょう。

最後は個人の自由ですから

私が決められる事ではありませんし

決めるべきでもない。

私が言った通りにした結果

その方が不幸になったら

責任取れませんしね。

生き方が違うだけです。

でも、今回は辞退していただいて

本当に良かったと思います。

失礼な事を言って

申し訳ございませんでした。

ご自分らしい人生を歩んでください。

ありがとうございました。

「その船を漕いでゆけ

おまえの手で漕いでゆけ

 おまえが消えて喜ぶ者に

おまえのオールを任せるな」               中島みゆき

合掌。

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プロフィール


武谷 広人
人材ビジネス経験の蓄積と、自らのトップマネジメント経験を強みとする。経営幹部から専門職まで約500件の案件を成功に導く。

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