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社長ブログ 人材コンサルタント25年史

「内定会食1時間前のドタキャン!!」

「内定会食1時間前のドタキャン!!」

一昨年前の話です。

20代後半のAさんは新卒で入った人材紹介会社で

若くしてマネージャーに抜擢され活躍していました。

まさに順風満帆です。

しかし、将来のキャリアを考えて転職を希望され

ご相談に来られました。

私:「今回はどんなご相談ですか?」

Aさん:「いつもブログを読ませていただいています。
     私は将来、武谷(たけや)さんのような働き方をしたいんです。
     自力で稼げる人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)になりたいんです。」

私:「将来の目標を持つことはいいと思います。
   しかし、今の会社は給与もいいですし
   マネージャーにも抜擢され期待されているのではないですか?
   このまま残って今の会社でキャリアを積むという道は考えられないのですか?」

Aさん:「それは考えられなくなりました。
     今の自分は組織の力で仕事をしていると感じるのです。
     また、私の担当領域の人材紹介は付加価値が低いと感じており
     成長感が持てません。
     今後はエグゼクティブの紹介にチャレンジしたいんです。
     組織に頼るのではなく個人力をつけて
     自立して勝負できる人材紹介コンサルタントになりたいんです!!」

私:「わかりました。
   そこまで腹をくくっていらっしゃるのであれば
   素手で戦える力がつくような会社をご紹介しましょう。」

私はそのAさんの強い意志を尊重し

厳選して3社の企業をご案内しました。

確かにAさんが在職している人材紹介会社は立派な規模で

人材コンサルタントも新卒採用を軸に組織的拡大に尽力されています。

職務の在り方も業界別編成で組織的です。

ですから逆に、社長自らがトッププレーヤーであり

少数精鋭で自立したコンサルタント集団の会社を

厳選してご案内したのです。

Aさんは、3社に応募し3社とも面接に進みました。

その内の1社であるB社が内々定という段階まで進み

最後に現場の人材コンサルタントの方複数名と社長さんを交えての

会食をする事になりました。

AさんはB社の社長さんの考え方や事業戦略に感銘を受け

会食前の社長面接においても

「是非ともお世話になりたいです!!」

と強い意志表明をしていました。

ただ、私には少し懸念がありました。

Aさんは現職の先輩だった方のお誘いで

X社という会社に応募をされていました。

そこは、Aさんが希望されているような

「個人力をつけて自立したコンサルタントになる」

という考えとは全く逆の方向を目指している

組織的拡大志向の会社だったのです。

加えて、新卒で入社して

これまで大切に育ててもらった現職をきっぱり辞める事ができるのか?

という心配もありました。

そのため、私は何度も念を押して確認しました。

それに対してAさんは

「自分の気持ちは固まっているので大丈夫です!!」

とおっしゃっていました。

そして、いよいよB社との会食当日になりました。

ところが、会食開始時間の1時間前にAさんから電話がありました。

嫌な予感がしました。

Aさん:「今日の会食は申し訳ありませんがキャンセルさせてください。」

私:「えー!!
   最後の会食の直前になってどういう事ですか?」

Aさん:「今しがた退職について事業部長に相談したところ強い遺留を受け
     お前にエグゼクティブ紹介事業立ち上げ責任者を任せるから残れ
     と言われ気持ちが変わってしまい
     やはり現職に留まる事にしました。」

私:「えー!!
   あれほど現職に未練はないと言っていたのに
   今更事業部長に相談って?
   心を決めていたのであれば相談ではなく
   明確な辞意表明をすべきでしょう?」

Aさん:「とにかく気が変わりましたので済みません。
     今日の会食はキャンセルさせてください。」

という内容でした。

私は取り急ぎB社の社長さんに連絡をしました。

社長さん:「えー!!
       そんな簡単に気が変わるなんて
       全く意味不明ですね。」

と驚かれていました。
      

その日、B社は社長含め6名ものコンサルタントの方々の予定を調整して

Aさんとの会食をセットしていただいていたのです。

私はとにかく丁重にお詫びをしました。

翌朝、B社の社長さんからメールをいただきました。

「遡ればX社の一件など、根っこの部分の軽さがあったのは事実なのだと思います。

 もう一つ、ご自身が個人で勝負できる人間になりたいという発言はあったものの

 世の中に何をなしたいか?

 また、その部分での当社のコンセプトや理念への共鳴が

 言葉としてあまり出ていなかったことは

 今回の選考を振り返っての反省点です。」

さすがに冷静で賢明な社長さんだと感心しましたが

逆に尚更申し訳ない気持ちになりました。

結局、私のグリップが甘かったですし

「Aさんを信じたい」という思い込みが強すぎましたが

面接過程を振り返ってのB社の社長さんの言葉は

深く心に強く残りました。

確かにAさんが甘い考えでB社に転職していたとしても

「やっぱり前の会社が良かった」

と後悔していた可能性が高いですし

成果を出せず、B社にご迷惑をかける結果になった可能性も高いです。

本当の自分を見直せたという意味では

Aさんにとって良い転職活動だったかもしれません。

それにしても、同じ人材コンサルタントの経験者で

会食1時間前のドタキャンは無いでしょう。

この部分は人材コンサルタントと言う以前に

人としての在り方や信頼性の問題だと思います。

その部分はAさんに重く受け止めていただき

今後の人生に活かしてほしいと思います。

「原点
 アノネ
 人間にとって
 一番大事なものはなにか?
 そこを原点として
 考えてゆけば
 あとは自然に
 わかってくるよ」                    みつを

合掌。

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プロフィール


武谷 広人
人材ビジネス経験の蓄積と、自らのトップマネジメント経験を強みとする。経営幹部から専門職まで約500件の案件を成功に導く。

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