「実績ゼロなのに転職したい?」
先日、久しぶりに怒ってしまいました。
別に怒鳴ったりしてませんよ。
ただ、心の底から悲しかっただけです。
今年の自分のテーマは 「柔」 という字に決めて
何事も喜怒哀楽に流されず
柔らかく対応しようと考えていた途端
未熟な私は怒ってしまいました。
昨年入社されたばかりのAさんが
新年早々訪ねて来たのです。
以前より顔の色つやも良く元気そうで
郷土の地酒までご持参いただき
新年のご挨拶にわざわざお越しになったのか?
と勘違いしました。
私:「ところで新天地の居心地はどうですか?」
Aさん:「おかげさまで濃密で充実した日々を送っています。
今回の転職は成功でした。」
私:「それは良かったですね。
X社さんは良い会社ですよね?」
Aさん:「はい、そう思います。
前の会社はのんびりしてましたが
人材紹介会社は毎月・毎Qと目標があって
サイクルが早いですね。」
私:「そうですね。
あっという間に1年が過ぎますよ。」
Aさん:「はい、そう思います。
そこで私の現状なのですが
ここに書面でまとめて来ました。」
私:「ご丁寧に書面で?」
Aさん:「はい、特に下線を引いてある部分をお読みください。」
私:「はー、書いてある意味はわかりますよ。」
Aさん:「はい、そうなんです。
入社前後のギャップがあるんです。
そこであらためて転職のご相談をしたいと思いまして。」
私:「えー!!
これはギャップではないでしょう?
ここに書かれている事は事前に全部わかっていた事ですよね?」
Aさん:「はー・・・・・。」
私:「十分企業研究もされて
十分説明もしましたよね?
熟慮の上の応募だったじゃないですか?
過去何人もの方々が入社されていて
今でも元気にご活躍されている姿を見たでしょう?」
Aさん:「ただ、RA(法人営業)側だけでは満たされないものがありまして
どうしても元々志望していたCA(キャリアアドバイザー)をやりたいんです。」
私:「ですからそれも応募前から
RA(法人営業)として実績を上げて認められないとないと
CA(キャリアアドバイザー)にはなれないと説明しましたよね?」
Aさん:「はい。
でも、そこまで行くには3年も5年もかかるのではないかと。」
私:「はい、もちろんです。
他の社員の方々も同様です。
それも説明しましたよね?
僕も若い頃は同じでした。
CA(キャリアアドバイザー)になりたくて
リクルート人材センター(現:リクルートキャリア)に配属してもらいました。
ただ、未経験の若造がいきなりキャリアアドバイザーって
一体人生の先輩に何をアドバイスできますか?
営業経験や大した人生経験や転職経験も無いのに。
最初の営業経験の目的は
ビジネスの世界を理解する事と
自分の殻をぶち破る事ですよ。
ある意味で挫折を知る事です。」
Aさん:「はい、そうかもしれません。
ただ、私はRA(法人営業)側だけやって
気が付いたら30歳とか35歳になるのが怖いんです。」
私:「30歳でも35歳でも遅くないじゃないですか?
では伺いますが
今の会社でRA(法人営業)としての成約実績は?」
Aさん:「まだゼロです。
ありません。」
私:「でしょうね。
RA(法人営業)として何も会社に貢献していないのに
いきなりCA(キャリアアドバイザー)になりたい?
人生急ぎ過ぎていませんか?
周囲の上司や先輩に相談しましたか?」
Aさん:「いいえ、していません。
ただ、今の上司が前職で両面型の人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)を
やっていたそうで
営業同行してもらった時に
『その時の自分が今の自分を支えている』
と言っていました。」
私:「ではなぜ今はRAをやっているのでしょうか?
それで自分も 『やっぱりそうか』 と思ったわけですね。
直属の上司もいいですが
社長や役員やRA(法人営業)で頑張っている人に相談しましたか?」
Aさん:「いいえ、していません。」
私:「Aさん、貴方の社内でのコミュニケーションに問題ありですね。
あんなにオープンな社風なのに。
どうしてもっと自分から積極的にコミュニケーションを取らないのですか?
貴方が周囲に相談すれば
RAの仕事のやりがいや醍醐味を存分に語ってくれて
励ましてくれると思いますよ。
貴方を大歓迎して採用してくれた
肝心の自分の会社の社長や
RA(法人営業)で頑張っている先輩にも相談もせず
いきなり私に再度の転職相談ですか?
成約実績も無い人をどこに紹介できますか?
紹介先などありません。
それ以上に
まだ入社間もない人を
御社の社長や役員、貴方の同僚に背いて
私が他の会社に紹介すると思いますか?
なめないでください!!
今のX社を辞めたら
貴方の人生はダメになります。
あんなに厳しくも温かい会社はない。
X社以上の会社なんて
もしあっても合格しませんよ。
開いた口がふさがらないとはこの事だ。
このお土産の酒はまずい酒になると思いますから
お持ち帰りください。」
Aさん:「今日は自分が安易でした。
申し訳ございませんでした。」
正直 「合格するのは難しいだろう」 と思っていたAさんの長所を見い出していただき
採用していただいたX社さんに申し訳なくて悲しくて
無力感で一杯になりました。
クライアントの中でも
最も定着率が高く未経験者を育てて立派な戦力にしてくれる会社だからこそ
Aさんのような不器用な人でも何とか一人前になるのではないか?
と考えて紹介したのです。
さあ、これからAさんが本当に腰を据えて頑張れるか?
業績を上げて
本当の自信とやりがいを見い出せるか?
それを見守りたいと思います。
Aさん、自分を1回ぶっ壊せ!!
「やれなかった
やらなかった
どっちかな」 みつを
合掌。