「素晴らしいお客様との出逢いが人材コンサルタントを育てる(後編)」
面接の前に、お電話で面接対策をしましょうということにして
休日にTさんにお電話をしました。
その時、Tさんからこんな本音がポロッと出たのです。
Tさん:「本当はこのまま人材紹介の仕事を続けていいのか?
少し不安なのです。」
この仕事は好きなのですが
どこに行っても今の会社と変わらないのではないかという気がしてなりません。」
数字が大切なのはよくわかっているのですが
そのために求職者のためにならないことを強制したり
KPIのために無理やり推薦したり
他社ではそんな事は本当にないのでしょうか?」
それを聞いて、私は少し考えました。
Tさんの能力や面接のあり方以前に
根本的に解決しなければいけないことがあると感じたのです。
私:「Tさん、では今日は面接対策ではなく
他の話をしましょう。
Tさんはこの仕事をしていて
一番楽しい事や嬉しい事はどんなことですか?」
Tさん:「楽しい事ですか?
そうですね・・・。
求職者の方のご希望や考えをお聞きして
自分だったらこんな道もあると思いますよと違う提案をしたら
それが結果的にいい方向になって転職先が決まって
感謝されたりすると大変嬉しいです。」
私:「なるほど、そうですか?そうですよね。
例えばそこにTさんが介在する意味がありますよね。」
そこから私は
これまで自分が人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)をやってきて
嬉しかった話をいくつかTさんにお話しました。
とても素晴らしいキャンディデートの方がいた事
思い出に残るドラマチックな成約
ユニークで面白い企業と尊敬する経営者
とても感動した話など・・・。
今思い出しても興奮したり泣けるような話がたくさんあります。
Tさんは熱心に耳を傾けてくださいました。
そして話し初めて30分が経つころには
明らかに声の表情が明るく元気になっていました。
Tさん:「この仕事をしていたら
そんな素晴らしい事にたくさん出会えるんですね。
私もそんな経験がしたいです。
やっぱりこの仕事っていいですね。」
私:「目の前の数字も大切な事です。
時には納得のいかない事をしなければならないこともあるとは思います。
それでもこの仕事の本質を理解して
大切にしている人材紹介会社はたくさんありますし
辛いことがあっても
そんな喜びもたくさんあるので皆頑張れるのだと思いますよ。」
面接対策はほとんどしませんでしたが
Tさんはこの後応募した企業の面接に見事に合格し、入社されました。
現在は、温かい社長さんや仲間に囲まれ
元気に頑張っています。
会社員として働く多くの人は
1日の1/3、もしくはそれ以上の時間を仕事に費やしています。
とても大切な時間です。
楽しい事ばかりではありませんが
やはりそこにやりがいや幸せ感がなければ続けることは難しいと思います。
人材紹介会社の経営者の皆さん
ベテランコンサルタントの皆さん
人材紹介会社の採用担当者の皆さんは
是非この仕事のやりがいを
若い方々やこれからこの人材紹介業界を志す方々に
語ってあげていただきたいと思います。
その事で、この仕事に携わる人たちが幸せになり
業界全体がよい方向に向かい
クライアント企業や求職者の方々にも
より良いサービスを提供できるようになるのではないかと思います。
「ひとの世の幸不幸は
人と人とが逢うことから
はじまる
よき出逢いを」 みつを
合掌。