「仁義なき転職活動:男なら玉を見せろ!!(その1)」
今、人材紹介会社は
どこも人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)の採用を活発に行っていますね。
まして人材紹介経験者であれば
たくさんの求人がありますし
またそれなりの実績がある人なら
複数内定を取ることも出来るでしょう。
しかし、採用とは仕事能力だけを見るものではありません。
「人として信頼できる人か?」
「相手の立場に立って考え行動できるか?」
などの人間性も非常に大切です。
この売り手市場を逆手にとって
残念な転職活動をしてしまう人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)
も悲しいことですが存在します。
Aさんは経験10年のベテランです。
5年ぶりに二度目の相談に来られた時
「人相が変ったなー。
優しかったAさんの眼光が鋭くなって
何やら違和感があるな。」
と思いました。
いくつかの企業をご紹介し
その中のX社で選考が最終まで進みました。
X社はAさんの経験と実績を高く評価し
内定を出したいと連絡してきました。
X社:「オファーレターを出す前に
Aさんの気持ちを確認しておきたいんです。
他社の選考状況はどうか?
他社と比較してうちのどこがよくてどこが懸念点か?
そういった細かいところを聞いていただけませんか?
面接では他社もあるとは聞いていますが
肝心な当社への感触が掴めないのです。」
私:「もちろんです。お話してみます。」
その夜、Aさんと電話で話をしました。
Aさん:「今、B社とC社とD社が進んでいます。
それぞれ、年収は○百万円くらいと聞いています。」
私:「優先順位はどうなんですか?
何を1番重要視しているのですか?
年収ですか?」
などと色々聞いてみるも
肝心な気持ちが全く見えてこないのです。
B社はインセンティブ比率が高い
C社は好きな分野のやりたいクライアントをやらせてくれる
など、色んな情報だけはたくさん持っていて
その話ばかりを繰り返します。
私は痺れを切らして言いました。
私:「じゃあ、何がどうなればX社に入社しますか?」
流石にちょっと考えた様子のAさん
Aさん:「固定年収で○百万円以上いただけて
入社日を5ヶ月先にしていただけるなら考えられると思います。」
私:「わかりました。
じゃあそのように先方へお伝えします。」
X社で入社初年度には考えられないマネージャーレベルの固定給を希望され
しかも入社日5ヶ月先とは?
もはや、X社が呑むわけはないとは思いましたが
これで流れてもいいと思い、X社に伝えました。
ところが、X社からまさかの返答。
X社:「Aさんのご希望を全てのみましょう。
その上で職務における懸念点も擦り合わせできるよう
オファー面談をさせていただいた上で
正式なオファーレターを出しましょう。」
相手は企業ですが
「男気がある」 とも言える英断です。
求職者にとって、年収が上がるというのは大変有難いことですし
いいことであるには違いありません。
しかし、これは決していいことだけでもないと思います。
人材紹介コンサルタントにとって
入社時の固定年収が高いということは
相当な活躍を期待されてのことです。
その分、プレッシャーも半端ではありません。
つまり、自分で自分の入社後のハードルを上げてしまうことになります。
結果を残せなかった時は
まさに針のむしろになることでしょう。
そして退職せざるを得ない状況になってしまうことも考えられます。
入社前の期待値は高ければいいというものでもないのです。
さて、Aさんはこれにどう応えたでしょうか。
続きは後編にて。
「かねが人生のすべてではないが
有れば便利
無いと不便です
便利のほうがいいなあ」 みつを
合掌。