「短期志向の経営者や学生は出ていけ！！」

人材紹介会社に入社するのは簡単ではない。

コミュニケーション能力、柔軟性、情報感度、フットワークなど

様々な要件を求められるので

むしろ入社するのは難しい業界だ。

中小ベンチャー企業が大半なのに

採用基準だけは一人前に高い。

その難関を突破し折角内定・入社したのに、若くして異業界へ転職する人が少なくない。

この事態をどのようにとらえるか？

私が知る限り

この問題を経営責任だと受け止めている会社は多くない。

・あいつは元々の適性が違った。

・あいつはストレスに弱かった。

・あいつは頭でっかちでフットワークが悪かった。

ふざけるな！！

だったら、新卒採用なんかするんじゃない！！

人の人生を何だと思ってるんだ！！

口説いて入社させたのだから最後まで骨を拾え！！

このような経営者の人間性の劣化が日本の病巣だ。

非常に短期志向なのだ。

どうすれば早く簡単にもうかるか？ばかり考えている。

選挙だけ考えている政治家と大差ない。

・適性があると思ったから採用したんだろう？

・初めて社会人になり、いきなり目標を持たされたら、誰でもストレスになる。

・新卒だから最初は頭でっかちでも仕方ない。

それでも新卒採用に踏み切るには理由がある。

1　純粋培養で基礎からきちんと育成できる。

2　新卒プロパーを中心に組織ロイヤリティーを高められる。

3　やれと言った事を愚直に真面目にやる。

4　中途社員にとっても良い刺激になる。

5　素直だから無条件でかわいい。

6　高学歴でポテンシャル高い社員を採用しやすい。

7　中途社員より定着率が良いはず？

様々なメリットを期待するから

翌年の４月にしか入って来ない新卒をわざわざ採用する。

一方で　「経営者だけの責任じゃない」　と思うところもある。

簡単に言うと

継続力や忍耐力が乏しい若者も増えている気がする。

転職情報が氾濫し

何事にもスピードが要求されるストレスフルな社会で

今より美味しそうな会社が見つかると

すぐに転職する。

数年前、ある大手人材紹介会社の内定者が相談に来て

「私が入社前に準備しておくべき事を教えてください！！」

と言うので、ボランティアでそれなりの話をした。

翌年に元気に働く彼と会って飲んで嬉しかった。

それなのに、その翌年には別の業界に転職した。

「一体何なんだ？」　

と憤慨した。

この業界の歴史の中で私も片棒を担いできたので

自責の念がある。

・入社すると、すぐに目標がある。

・１件１件の成約のストーリーはあまり語られず

　結果業績だけで毎月・毎Ｑ・毎年、幾ら売れたか？

　何件成約したか？

　そればかりクローズアップされる。

・更には、入社した人材がその後どのように働いてるか？わからない。

・それに対して、経営者がどのように考えているか？わからない。

学生時代に思い描いていた世界とあまりに異なる。

それで給料をもらっているのだから当然だ。

センチメンタルな話を逃げの理由にするな！！

学生の皆さん、全部きれいな仕事なんかできないんだよ！！

２２歳や２３歳で

５３歳の私と同じ仕事ができるわけがない。

私もまだまだ。

これから先、老いぼれても

この仕事はワインのように熟成していく。

長くやればやるほど

実績も信用（人脈）もスキルも蓄積されて行くのだ。

定年も無い。

私が新卒だった時

当時の人材紹介コンサルタント（キャリアコンサルタント）の大先輩が５０～６０歳だった。

今、自分がその年齢に近くなり、やっと間口に立った気持ちだ。

ただの短期志向の経営者や学生は

この業界から出ていけ。

「いちずに一本道　

　いちずに一ツ事」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　みつを

合掌。