「グローバル市場の採算性は?」
私はJACに在籍していた2001年、上場に向けての中期経営戦略を作成した。
その時、私が発表したJACのコンセプトは、下記のような方針だった。
「JACは国際優良企業と国際派人材にとって最もメジャーなエージェントになる」
「人と企業の国際化をサポートするJAC」
「世界各国に拠点を持つ国際的エージェントJAC」
「国際派人材のためのエージェントJAC」
「グローバル企業への転職はプロフェショナル専門エージェントのJAC」
全く国際的でない私が 「国際」 を連発しているので苦笑してしまう。
要するに
「あくまでJACの強みで勝負しましょう」
ということだ。
国際的企業、アッパーミドルとスペシャリストに集中して、その市場で一番になる。
リクルートエージェントやインテリジェンスと正面からぶつかる市場には突撃しない。
私の言う通りにしたら
2009年のリストラは不要だったかもしれないが
短期間での上場はできなかっただろう。
後任社長の神村さんが突撃したから上場できたのだ。
現在のJACは松園社長の下、国際化路線を追求している。
松園社長も英語のレッスンに余念が無い。
最近はキックオフのスピーチも英語らしい。
ところで、今騒がれているグローバル市場って何を指しているんだ?
例えば、下記のような例かな?
1 外資系企業の日本参入サポート ⇒ 要するに外資系企業に人材を紹介する。
これは昔からやってきたし、多くの外資系エージェントも参入している。
しかし、外資系企業は年収も高いしもうかる。
日本から外資系企業が完全に無くなる事はない。
ただ、韓国企業や中国企業に日本のエンジニアが転職して日本の技術は流出した。
サムスン、LG、昔は馬鹿にしていたけれど、今は立場が逆転。
もっと国家レベルの戦略が必要だったと思う。
2 日本企業の海外進出サポート ⇒ 昔も今もこれにスポットが当たっている。
昔は欧米先進国に進出した日本企業が、今は発展途上のアジア中心に進出している。
日本国内でも海外現地法人でも、外国人社員を大量採用している企業が増えている。
この需要がいつまで続くのか?次はインド?ロシア?ブラジル?アフリカ?
これも日本企業の本社発注求人であれば、年収も高いからFEEも高い。
これはどんどんやりたい。
一方、ローカル(現地法人)採用になると現地水準の年収やFEEになるので急に薄利になる。
JACのように徹底した現地化経営をしないと採算は取れない。
3 外資系企業のアジア進出サポート ⇒ これをやっている日本のエージェントはあるかな?
外資系企業が日本以外のアジア進出をする際にサポートを依頼するのは
やはり外資系のエージェントがほとんどではないか?
この市場に日本のエージェントが入り込めるか?かなり難しいと思う。
特にハイエンド案件はグローバルサーチファームが動いていることが多いだろう。
多分、1件のFEEが一千万円以上だと推測する。
あとは、先ほど触れたように、現地法人にローカル人材を紹介するのでは
FEEが安くて、日本のエージェントの相場観から考えると美味しくない。
従って、グローバル市場の攻略は簡単ではないということだ。
少なくとも自らがグローバルエージェントでなければ駄目だ。
海外進出する日本の国際企業の経営者とのパイプを持ち
海外や国際企業で活躍するマネジメント人材とのネットワークも
保有しているエージェントでなければ無理だ。
大きくはないが、そのようなリソースを保有しているエージェントも実際に存在する。
逆に、大きくても全くわけがわかっていないエージェントも存在する。
私は無理にグローバル市場をやらずに、今こそじっくり国内市場に取り組むべきだと思う。
「日本はもう終わり。日本は駄目だ。」 と言う人が多いが、私はそうは思わない。
それは国内市場シェアトップの会社の社長が言うセリフだ。
国内市場の開拓の余地は、まだまだあるのだ。
だからこそ、中小零細エージェントも食っていけるのだ。
だからこそ、外資系エージェントも数多く日本市場に参入しているし
積極的に日本市場を開拓しているのだ。
日本でできていない事が
海外でできるわけがないのだ。
まずは、足元をしっかり固める事だ。
「自分が自分にならないで
だれが自分になる」 みつを
合掌。