「達人キャリアコンサルタントの教え」
私は大きな誤解をしていた。
年輩の人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)だから業績が悪いのではない。
逆に、若手コンサルタントだから良いわけでもない。
結論は年齢差ではなく個人差だ!!
リクルート人材センター時代、新橋本社の大会議室で
全コンサルタントを集めたノウハウ共有会をやった。
その四半期、業績上位の3名のコンサルタントが自分の成果・ノウハウを発表した。
私もその内の一人として
詳細は忘れたが内容の浅い発表をした。
その時、業績No.1だった年輩CAのTさんの話が、25年経過した今でも心に残っている。
司会:「それでは、決定人数トップだったTさんから
その熟練のノウハウを発表していただきます。」
Tさん:「私は、最近このカンセンリングの本を読みました。
この本にも書かれていますが
私には皆様の前で発表できるようなノウハウなどありません。
ただ、私たちがこの仕事をやっていく上で大切だと思うことが一つあります。
それは、
『私たち自身が、いつも静かで平和な気持ちでいる』
という事です。」
若造だった私は、この話を聞いた時
意味がわからずバカな質問した。
私:「Tさんは謙虚だから
ご自分のノウハウを話されないのですね?
折角の機会なので
もっと皆さんにわかるように具体的な事を話していただきたいです。」
Tさんは何もお答えにならなかった。
浅薄で小手先のノウハウの話などではなく
人材コンサルタントとしての「心の持ちよう」の話をされたのだ。
ストレスがたまるコンサルタント業務を継続するには
この「心の持ちよう」が極めて大切なのだ。
そもそも焦って余裕の無いコンサルタントに良い仕事ができるわけがない。
登録者の話を心から傾聴できるわけがない。
その結果、業績も上がるわけがない。
実際、若手コンサルタントの業績が依然として上がらず
いたずらに時間が経過し
次々に来社される登録者対応に疲れが見えた時に
やっとTさんが語られた話の意味がわかった。
四半期で30人、40人もの決定人数をあげるとすれば
これは相当な体力勝負になるので
若手に有利に働くかもしれない。
しかし、コンスタントに20人、25人の決定をあげるとすれば
精神的な安定感があり
継続力ある年輩コンサルタントの方が向いているかもしれない。
いや、もっと言えば、年齢差ではなく個人差だ!!
昔、大阪支社にOさんと言う年輩のスーパーコンサルタントがいて
毎四半期40名以上の決定をあげていた。
私は1年で60名の決定しかあげられなかった。
後から投入された若手コンサルタントのS君とA君は頑張ってくれたが
当時の若手コンサルタントの四半期平均決定人数は
11~12名程度で普通の年輩コンサルタントと代わりばえしなかった。
これもマネージャーであった私の責任だ。
人材コンサルタント業務の標準化の問題とコンサルタント適性の問題とは
初めから別々に考えるべきだった。
「花を支える枝
枝を支える幹
幹を支える根
根はみえねんだなあ」 みつを
合掌。