「なぜ応募しなかったのか?その理由をクライアントに報告しよう」
今日は提案営業の話です。
リクルートエイブリック時代に
当時、営業マネージャーだった船本さんと話していて
「これをやろう!!」
という事になったんです。
当時、私は首都圏営業第一部という部で
IT業界及び電気・電子・機械・化学業界(EMC)を管掌していました。
そこで話題になったのが、こんな話でした。
私:「お客様(求人企業)にとっては
我々の活動はブラックボックスで何も見えないよね。
本当に一生懸命人材を探しているのか?
本当に紹介する努力を最大限しているのか?」
船本君:「僕はそれをちゃんと毎月レポートすべきだと思うんですよ。
それが求人を依頼していただいている我々の義務だと思いますね。」
私:「そうだよね。
毎月の活動報告書を作成して
それをRA(営業)がお客様に持参して説明すべきだよね?」
船本君:「そうです。
その活動報告を行う中で、より深い提案もできると思います。」
私:「会社の魅力をもっと聞き出すとか
選考スピードを早くしてもらうとか、
そもそもの採用ターゲットを変えてもらうとか
給与条件を改善してもらうとか、いろいろあるよね?」
船本君:「相当様々な提案をするキッカケになると思いますね。
今、RA(営業)に何か武器を持たせてやりたいんです!!
そんな武器があれば、営業のおもしろさをもっと体感できると思うんですよ。」
私:「俺は人材紹介会社の最大の武器の一つは
その求人を紹介したのに応募しなかった人の辞退理由がわかることだと思うんだよね。
これって転職サイトや求人情報誌ではわからないじゃない?
応募してきた人の事しかわからない。」
船本君:「そうなんですよ。
応募してきた人に 『なぜ当社に応募したんですか?』 と聞くことは簡単ですが
それが求人広告の限界ですよね?
本当は応募しなかった人から辞退理由を聞く方が重要なのに。」
私:「そうなんだよ。
以前、野村證券に営業に行った時に
人事課長さんが
『都市銀行や総合商社に入社する人を野村證券で採用したい。
そんな人を紹介してください。』
とおっしゃるので 『それは無理です』 と言ったんだよ。
『いくら人材紹介会社でも、野村證券に行きたくない人を強引に連れて来ることはできません。
もっと採用と言うものを抜本的に考え直さないと、そのような人材を採用するのは無理です。
これまで御社は野村證券ファンばかりを採用してきた。
しかし、御社が本当に欲しい人材は野村證券ファン以外の母集団の中にも存在している。
だから、リクルートが保有するDBの首都圏1万人ビジネスパーソンに
就職先・転職先としての野村證券をどのように思うか?
アンケート調査を行って、そこから出て来る課題をベースに
採用市場における野村證券のイメージを変えなければいけないと思います。』
と提案したんだけど、何か意味がわからないみたいだった。」
船本君:「そんな提案も毎月の活動報告の中でできますよね?
例えば、マイクロソフトを100人に紹介したけど
実際に応募したのは30人しかいなくて
残りの70人には辞退された場合
その70人が応募辞退した理由を
CA(キャリアアドバイザー)が聞き出して
記録しておきレポートにして提出すればいい。」
私:「将来は数種類の辞退理由をパソコン上でクリックすれば
自動集計されるシステムにすればいいよね?」
船本君:「凄い差別化になると思います。
最初はCA(キャリアアドバイザー)に頼んで
手書きで辞退理由をチェックできるような
チェックシートを作って対応するしかないですね。
忙しいCAが協力してくれるかな?」
私:「俺がITグループのCAミーティングで頭を下げるよ。
当座3ヶ月、無理なら1ヶ月やってほしいな。」
という事で確か1ヶ月やってみようという結論になりました。
そして当時
大手IT企業担当グループのマネージャーだった六郷さん(現:メイテックネクスト社長)が
マイクロソフト様に活動報告書を持って説明に行きました。
六郷さん:「いやー、マイクロソフトさんでは凄い感謝されましたよ!!
『こんな貴重な資料を提供してくれて、本当にありがとう。』 と言われました。
マイクロソフトを応募辞退した人の多くが
マイクロソフトの経営方針が嫌い、
マイクロソフトは技術志向ではなくマーケティング志向なのでエンジニアには
抵抗がある、
マイクロソフトのプロダクトが嫌い、などなど
人事サイドの問題で
エンジニア採用が難航しているのではない。
マイクロソフトの経営方針に根本原因があると証明できたんです。
今まで人事は、現場から 『何やってるんだ!!早く採用しろ!!』
と言われ続けて来たので
この資料のおかげで大変助かると言ってました。
やっぱり、活動報告は必要ですね。」
このように人材紹介会社にしかできない提案をしなければ
単なる紹介屋になってしまうと思うんです。
しかし、現実は難しく
予想通りCAの皆さんには大きな業務負荷となり
この試みは一度限りのトライアルとなってしまいました。
しかし本来、人材紹介会社は目先の業績を追いかけるだけでなく
定期的な活動報告を求人企業にすべきであり
それをテコにして様々な課題解決提案を
行うべきだと今でも考えています。
偉そうに言う私も全然やれていないので
クライアント様には誠に申し訳ございません。
「やれなかった
やらなかった
どっちかな」 みつを
合掌。