「仲間と一緒に独立するのは慎重に」

先日相談に来られたＡさんに送った言葉です。

転職の相談かと思ってテーブルについたら、いきなり独立プランの話が始まりました。

エクセルで作成された１枚の大雑把なＰ／Ｌを見せていただきました。

Ａさん：「こんな感じで考えているんですが、どう思いますか？

　　　　　何かアドバイスはありませんか？」

私：「うーん、どうして一人じゃなくて５人で独立するんですか？」

Ａさん：「今の会社の仲良しで業績も上げているのが５人なんです。

　　　　　それから、５人の方がマッチングチャンスも増えるでしょう？」

私：「一般論ですが、仲の良い友人と一緒に独立しない方がいいですよ。」

Ａさん：「どうしてですか？」

私：「一緒に会社経営をすれば、良い時も悪い時もあります。

　　　概して業績が悪くなった時に意見対立が起こり

　　　喧嘩別れしている会社が多いでしょう？

　　　大切な人間関係が台無しです。」

Ａさん：「そんなもんですか？」

私：「今、貴方たちは会社という組織に所属しています。

　　　そして、貴方たちは会社の中では少数派ですよね？

　　　そのような組織の中で孤立した集団は自然と結束力が高まります。

　　　俺たちだったら独立しても稼げるし

　　　その方が組織に縛られず楽しく働けると思いますよね？」

Ａさん：「はい。そう思っています。

　　　　　共同出資で会社を作りたいと思っています。」

私：「これから立ち上げるのに給与はどうして固定給なんですか？」

Ａさん：「はい。みんな最低限の生活がありますから。」

私：「人件費以外の経費は相当切り詰めて計画されてますから悪くないと思います。

　　　ただ、どうして給与は固定給なんですか？　それも一律同額ですね。

　　　売上が上がらなくても固定給を払うのですか？」

Ａさん：「ハイパフォーマーにはインセンティブもプラスで支給したいと思います。」

私：「当然、５人の業績にはバラツキが出ると思いますよ。

　　　中には数ヶ月間売上ゼロという人も出て来るかもしれません。

　　　そんな赤字社員の給料も

　　　業績の良いコンサルタントが払ってあげることになりますね？

　　　その状態が半年、１年続いたらどうしますか？」

Ａさん：「・・・・・・・・。」

私：「いいよ、いいよ。気にしないで。

　　　こんな事も想定した上で一緒に会社を作ったんだから

　　　これからも一緒に頑張ろうとニコニコ笑顔で言えますか？

　　　貴方には奥さんもお子さんもいるのに

　　　自分の稼ぎで売上が上がらない人も食べさせる

　　　覚悟はありますか？」

Ａさん：「いやー、そこまでは・・・・・。」

私：「パートナーシップというのは

　　　その人のミスでも自分のミスとして受け入れる信頼関係がないと成立しません。

　　　どうしても会社を作りたいなら

　　　軌道に乗るまでは全員が自立して固定給なしのフルコミッションで働く覚悟が

　　　必要だと思います。

　　　皆さん、それぐらい厳しい覚悟ができたら共同経営もできるでしょう。」

Ａさん：「わかりました。

　　　　　厳しいご指摘ですが参考になりました。

　　　　　なんだか私たちの考えが甘かったです。

　　　　　ありがとうございます。」

というような話になりまして帰られました。

現在の環境が嫌だから独立しよう

というだけでは、簡単に立ち上がらないと思いますので

あえて厳しい事を申し上げました。

結果として、Ａさんたちは独立しないで

今も組織の中で頑張っているようです。

「一とは

　原点

　一とは

　じぶん」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　みつを

合掌。