「いい加減な定性評価なら無い方がいい」
先日、「ちゃんと定性評価していますか?」 というブログを書きました。
しかし、「いい加減な定性評価なら無い方がいい」 という人の気持ちもわかります。
「いい加減」=「公正に評価していない」=「好き嫌いで評価する」=「部下に関心がない」
というケースも少なくありません。
そんないい加減な定性評価であれば
定量だけでデジタルに評価してもらいたいと
先日、大手の人材紹介コンサルタント(キャリアコンサルタント)Aさんに聞きました。
Aさん:「うちの会社は上司と仲が良いか悪いかが定性評価の基準なんです。
そんな定性評価は納得できません。
私は真剣に転職を考えています。」
私:「日常、上司と話し合う事は大切な事ではありませんか?」
Aさん:「そういう生産的な話や議論なら納得できますが
うちの場合は単なる相性とか好き嫌いが評価基準なんです。
だから業績が悪いコンサルタントでも上司と仲良くしている人は
クビにならないんです。
逆に業績が良いコンサルタントでも上司にゴマをすらない人は
定性評価が低くなります。
そういう不公正で曖昧な定量評価なら必要ないと思います。」
私:「それが事実なら多くの人がAさんと同じ気持ちになるでしょうね。」
このように 「中途半端な定性評価はいらない」 という人も少なからず
いらっしゃると思います。
むしろ、多数派かもしれませんね。
確かに不透明で曖昧な部分もありますからね。
人が人をアナログな部分で評価するわけですから難しいですよね。
一方、先日ご相談にお越しになったBさんは
「入社前の説明と違って定性評価が全く無いので転職したい」
という方でした。
入社してみると完全に個人商店の集団で
社内のコミュニケーションが少なく
お互い他人に対する関心も低く
「定性評価のかけらもない」
とおっしゃるのです。
Bさん:「入社前の説明ではチームワークを重視しており
社内の情報交換も活発に行われています。
一体感のある働きやすい会社です。と言われ
その社風や方針に共感して入社したのに
実際には真逆でした。
こんなんじゃ複数の人が集まって仕事をしている意味が無いし
マッチングの機会損失は起こるし
教育もしないから新人コンサルタントも育つわけがないし
会社としての発展が望めません。」
私:「そうですね。
それが事実だとすれば寂しい会社ですね。」
Bさん:「ですから武谷(たけや)さん、
ちゃんと定性評価を行っている会社を紹介してください。」
このBさんのように定性評価を重視する方もいらっしゃいます。
ただ、AさんのケースもBさんのケースも
定性評価の有無よりも
定性評価に対する納得性を問題にしているのだと思います。
納得できる評価制度ならあった方がいいし
納得できない評価制度なら無い方がましです。
しかし、人が人を評価する定性評価というものは
どうしても相性やアナログな面も含まれるので
なかなか難しいものですね。
従って、多くの会社では 「定量評価の高い人が定性評価も高い」 という具合に
結局、定量評価と定性評価が連動してしまうケースが多いですね。
たくさん売れてるコンサルタントは自然と定性評価も高くなる傾向が顕著です。
本当にそうなら
わざわざ定量と定性を分けている意味があるのでしょうか?
従って、定性評価の項目をより具体的に細分化して公正に評点を付けられるように
非常に緻密な評価シートを作っている会社もあります。
これはこれで大変な労力です。
どこまで行っても人が人を評価するのは本当に難しいものですが
難しい面倒臭いと言ってあきらめてはいけないと考えています。
あきらめたらマネジメントの放棄になり
「お金の切れ目が縁の切れ目」 のような無味乾燥な会社になってしまいます。
「にんげんだもの」 みつを
合掌。